
総括
FX「米国不安で世界の首脳の中国詣でが続く。懸念事項は不透明性」人民元見通し
(通貨10位、株価13位=上海、香港ハンセンは3位)
予想レンジ 人民元/円 20.3-20.8
(ポイント)
*中国へ向う世界の人と資本、懸念は
*米中の一時的関税合意は8月12日まで
*ドルが最強でも最弱でもついていく人民元
*2Q・GDPは5.2%増に鈍化
*7月下旬の景気刺激策は
*6月中国輸出5.8%増、輸入1.1%増
*NVIDAが中国で半導体販売再開
*物価の伸び悩みは続く
(ドルが最強でも最弱でもついていく人民元)
7月はドルがここまで最強通貨となっている。半ば連動する人民元は2位につけている。
年初来ではドルが11位、人民元が10位とここでも仲がいい。これだけドルと元が寄り添っていると、人民元とドルの僅かな金利さえでもキャリー取引が行われているのだろう。
上海総合指数は年初来4.54%高、香港ハンセン指数は22.22%高。10年国債利回りは1.66%。
(中国へ向う世界の人と資本、懸念は)
米国の関税政策による不確実性で、欧州だけではなく中国へも資本が流れている。香港ハンセン指数は年初来22.22%高(日経は0.58%安)。
最近の各国の首脳の中国詣でも盛んだ。英国、EU、豪、NZ、日本など。各国は関税での輸出減少を中国に求めているが、中国も内需が伸び悩み1990年代のように対応できるとは限らない。また中国との外交貿易関係では中国の司法の不透明さがあり、それは関係拡大に懸念となっている。(昨日も日本の会社員にスパイ容疑で懲役刑が課されたが裁判内容は公表されていない)
(2Q・GDPは5.2%増に鈍化)
2QのGDPは前年同期比5.2%増加し、予想の5.1%増を小幅に上回った。米国の関税に直面する中でも底堅さを示した。「上半期は好調だったものの、輸出の前倒しがなくなり、米国の関税の影響がより顕著になるため、下半期の見通しは悪化するだろう」と指摘されている。「住宅価格の新たな下落と補助金の効果の薄れも、消費回復の持続性に疑問を投げかけている」と述べた。
6月鉱工業生産は前年比6.8%増と、5月の5.8%増から加速し、予想の5.7%増を上回った。小売売上高は4.8%増で5月の6.4%増から減速。予想の5.4%増も下回った。
(景気刺激策は)
7月下旬に予定されている政治局会議で新たな刺激策が示されるかどうかに注目している。 中国当局は金融緩和に加え、インフラ投資や消費者向け補助金を強化してきた。人民銀行は5月、トランプ米政権の関税措置による経済への悪影響軽減に向けた幅広い取り組みの一環として金利を引き下げ、流動性を供給した。
今後数カ月でさらなる金融緩和が予想されるが、一部のアナリストは成長が急減速した場合、政府が財政出動を拡大する可能性があるとみている。
(6月中国輸出5.8%増、輸入1.1%増)
6月の貿易統計によると、ドル建て輸出は前年比5.8%増加した。前月から伸びが加速し、予想の5.0%を上回った。輸入は1.1%増とプラスに転じたが予想の1.3%増を下回った。
6月貿易黒字は1147億ドル。5月の1032.2億ドルから増加した。
レアアース輸出は前月比32%増加し、米中が先月に結んだレアアース貿易を巡る合意が奏功しつつある可能性を示唆した。
しかし、トランプ米大統領が他の貿易相手国への新たな関税率を表明する中、中国製品の積み替えが多く行われている第三国に対する米国の圧力によって中国が間接的に打撃を受ける可能性があると警告している。