◎分からないことは分からない


投資家のメディアリテラシーとして重要になるのは「分からない」という状態を受け入れることです。

私の経験として、負ける投資家は、「『分からない』という状況に耐えられない」という性質を持っている気がします。だから、確度の高い情報がなくても無駄にポジションを持ってしまうんですね。勝てる投資家というのは、基本的にポジションを持たなくても落ち着いています。明確な情報が出てきた時のみ、動くのです。おそらくこれは、「分からない」「相場が読めない」ということに対する免疫があるからできるのだと思います。
勝ち続ける投資家は、答えのない相場の時は、その兆候らしきものが出るまで待つのです。「忍耐力」があるといってもいいかもしれません。無駄にポジションは取らない。その姿勢を、自分の気分などでは絶対に崩したりしません。これはビジネスシーンでも同様ですよね。タイミングが合うときに必ず仕留める。でもそれまでは、心も体も動じず、ゆっくりと状況を判断する時間に使うのです。

そして、勝てる投資家は、無駄に悩むということをしません。
新聞社で働いていた頃に、よく投資家の方から電話がかかってきていたのですが、失礼ながら負けている投資家の人は、一つの情報に固執し、悩んでしまう傾向があります。悩むというのは、「考えても仕方のないことを考えてしまう」ということです。そして、「考える」というのは「考えれば何かしら具体的なアイデアが思いつく」というときに有効です。でも、情報がない状態で、どんなに頭に汗をかいても、正しい答えが出てこないのが相場なのです。投資においては、まず情報収集が一番。情報が少ない状況の中で悩んでいると、マーケットは先に進んでしまいます。スピード感を持って情報の収集選別を行っていく必要があるといえるでしょう。


◎情報を知るには、まず市場に参加すること


本当に情報収集、投資におけるメディアリテラシーを高めたいというときに私がおすすめしているのは、「まず口座を開きなさい」ということです。

もちろん、市場にはリスクがたくさんあります。元本保証のものなど基本的には存在しません。ですが、市場に参入しなければ、本気で情報収集に対して学ぶということもできないはずです。私が取材したことのある投資家で、一部からはカリスマ投資家と呼ばれていた人がいます。その人は「投資の勉強はブックオフで2冊本を買っただけ。後は実際にやってみてから情報収集の方法を学んだ」と教えてくれました。

また、実際に自分のお金で取引を始めるという行為には「ルールを守る」力をつけられるということがあります。トレードにおけるルールとは、たとえば「ここで損切りを行う」「ここで利益確定を行う」という類のものです。当然ですが、バーチャルトレードだったら、このルールに従って取引を行うことが、誰でもできます。損失の痛みが伴わないからです。実際に市場に参加しているからこそ難しいのですよね。
自分のお金を失った時、そこには「痛み」が伴います。痛みを伴った場合にのみ、私たちはルールを忘れてしまうのです。

メンタルのルールを鍛えるのに方法は一つだけです。それは、「取引を自分の手で行ってみること」はっきりいってこれにつきると思います。

以上、本日の記事をお届けしました。
参考となる所があれば幸いです。

ZUUonline編集部

photo credit: Robert S. Donovan via photopin cc