劣後債を発行する狙いは

劣後債により調達する約4,000億円もの資金の使い道は、ボーダフォン買収時に発行した優先出資証券2,000億円の返済にあて、残り2,000億円をインドなどの新興国企業に対するM&A等の戦略的な投資への活用を検討している。

2006年の英ボーダフォン買収、2013年の米スプリント買収など、多額の資金調達を必要としてきたソフトバンクは、2014年9月末時点で10兆円近い有利子負債を抱え、自己資本比率は19%台まで低下している。ドコモ77%、au61%と比べるとソフトバンクの自己資本比率は著しく低い。

日本格付研究所によるソフトバンクの長期債格付けはA-、スタンダード&プアーズはBB+、ムーディーズはBa1と、投機的等級に格付けされている。機関投資家は一定以上の格付けがないと投資しないため、今回のように個人向けに発行するのは正しい戦略といえる。また、白い犬をメインにしたテレビCMや孫正義氏の人気、そしてソフトバンクホークスの優勝など、個人投資家における認知度も高い。債権市場における金利が低い中、劣後債の年利2.5%は非常に魅力的だ。個人投資家の需要は高いといえよう。

通常の借入による資金調達ではなく、自己資本に近い性質を持つ劣後債を用いることで信用力の維持を図りつつ、優先出資証券の返済を行い、積極的に投資を行う、という財務内容を守りつつ、対外的に攻めに出る、という2つの財務戦略となっている。

このようにテクニカルな財務戦略ではあるが、劣後債により調達した資金のうち優先出資証券への返済を除いた残りの2,000億円の投資内容によりマーケットは評価していくため、今後のソフトバンクの動向を注視していきたい。

(ZUU online)

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