②証券会社にとって「おいしくない」

一方、個人向けの債券というのは概ね一口当たりの金額が「100万円」に設定されているのですが、証券会社にとってはコストがかかるケースが多いため、個人向けに債券を組成するよう発行体に働きかけることが少ないのです。
例えば新規発行債券について、発行体からもらえる手数料が額面の0.5%とだとすると、一口販売するごとに得られる手数料は

機関投資家向け:1億円×0.5%=50万円
個人投資家向け:100万円×0.5%=5000円

「債券を販売する」という行為は個人相手だろうと機関投資家相手だろうと、1回の販売あたりほぼ同じ手間やコストがかかります。であれば、1回あたりの販売金額が多い方が証券会社としてはコストが少なく済む分儲かるし嬉しいわけです。
機関投資家に1回販売して得られる手数料を個人投資家向け債券から得ようとすると、それこそ最大100回も販売しないといけないわけですから。

もちろんその分、個人投資家向けの場合は手数料率がやや高めに設定されるケースもあるのですが、手数料率を仮に倍にしたとしても、やはり販売コストはなかなかカバーしにくいというのが容易に想像できるかと思います。

そのため、証券会社にとって「おいしくない」のです。

③個人投資家にとっても「おいしくない」

また、前に述べたように、債券のラインアップのうち機関投資家用のものが占める割合が多いということは、すなわち個人投資家向け債券には銘柄の「選択肢が少ない」ということになります。
そして、先ほど述べたように証券会社はやはり機関投資家向けビジネスを重視しがちなので、どうしても個人投資家への情報が少なくなる傾向にあります。

もちろん新規発行債券を販売するに当たってはその銘柄に関する情報は提供してくれるのですが、「債券市場が今どうなってて、利回りスプレッドの推移がこうなってて、その中で今回の債券のメリットは・・・」といった、債券を売買するにあたって当然知っておくべきマーケット情報を入手できることはほとんどない、ということです。

だからこそ、少ない情報の中で個人投資家が預金金利という、債券利回りと比較するにはナンセンスなものくらいしか判断基準がなくなってしまっているというのが現状です。
情報が少ない、イコール適切な投資判断に支障をきたす可能性もあるわけで、そういう意味では個人投資家にとっても多くのケースで「おいしくない」と言わざるを得ません。

まとめると、個人にとっての債券投資はやはりハードルの高いものになっていると言わざるを得ないところもあります。
なので、せめて投資判断をする際に心がけていただきたいのは、

・他の債券とも利回りなどの条件を比較する
・営業マンに「ここのところの債券相場はどんな具合か、またこの債券の利回りスプレッドは割安なのか割高なのか聞いてみる

の2点です。 特に前回の記事でも述べましたが、「利回りスプレッドはいくら?」と質問すると、大体の営業マンは「ちょっと確認させてください」と即答できないはずなので、そこで営業マンにも一目置かれることになると思います。

【債券投資の教室シリーズ】

債券投資の教室vol1〜証券会社の債券ビジネスのカラクリ〜
債券投資の教室vol2〜預金?国債?社債?個人投資家が知っておくべき債券の比較法〜
債券投資の教室vol3〜個人投資家にとって債券市場が身近でない3つのワケ〜
債券投資の教室vol4〜孫正義氏の辣腕とソフトバンクが発行した4000億円の「個人向け社債」〜
債券投資の教室vol5〜変動型個人向け国債が圧倒的に有利な3つのワケ〜
債券投資の教室vol6〜債券取引の現場、機関投資家が債券を売買するとき〜
債券投資の教室vol7〜債券取引の現場、証券会社が債券を売買するとき〜

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