皆さんこんにちは。
「債券投資の教室」を連載しているgelです。

これまではどちらかというと一般個人投資家の方向けに記事を書いていたのですが、ご要望もあったので、もう少し債券マーケットのコアの部分についてお伝えしていこうと思います。

まずは債券市場をより理解するための一つのアプローチとして、それぞれの市場参加者が一体何をやっているかを見ていきましょう。

【債券投資の教室シリーズ】
債券投資の教室vol1〜証券会社の債券ビジネスのカラクリ〜
債券投資の教室vol2〜預金?国債?社債?個人投資家が知っておくべき債券の比較法〜
債券投資の教室vol3〜個人投資家にとって債券市場が身近でない3つのワケ〜
債券投資の教室vol4〜孫正義氏の辣腕とソフトバンクが発行した4000億円の「個人向け社債」〜
債券投資の教室vol5〜変動型個人向け国債が圧倒的に有利な3つのワケ〜

◉債券市場のあらまし

まず、債券市場には大きくわけて「プライマリー市場」と「セカンダリー市場」があります。プライマリー市場というのは起債したてほやほやの債券を扱う市場、セカンダリー市場というのは起債してしばらくたってから売買される市場のことをさします。
ここでは「セカンダリー市場」に特化することとします。

債券市場というのは「取引所」がある訳ではないので、債券を売買したい投資家は証券会社(店頭、とも言う)と直接売買をしています。
また、一般に債券市場の参加者というのは、実際に運用をする「投資家」、主に投資家の売買の相手となって利ざやを抜く「業者(証券会社)」、そして業者同士が在庫の調整売買をするための場である「業者間ブローカー」の3つに分かれます。
最初の2つは聞いたことがあるかもしれませんが、「業者間ブローカー」というのは聞き慣れない単語だと思います。

まず、今日は「投資家(機関投資家)」が何をやっているかについて、3つのフェーズにわけて説明していきます。
厳密には国債と国債以外の債券でフローが微妙に違ったりするのですが、ここでは分かりやすいと思われる「国債以外の債券」を例としてみます。

①機関投資家は「オファーシート」という在庫と目安価格の一覧を証券会社からもらう

株であれば、証券会社は基本的には投資家の売買注文を取り次ぐだけでいいので、手数料以外にはどの証券会社に注文しても同じ条件が提示されることになります。
しかし、債券の場合は取引所がないため、証券会社が自らポジションをとり在庫を抱えることで投資家の売買注文に対応しています。

これはつまり、証券会社によって扱っている債券の種類も違えば、値段も違っているのです。
そのため、機関投資家はまず「オファーシート」と呼ばれる、在庫債券の銘柄と参考価格が一覧で記載されているシートを証券会社から入手するのです。