②得意な投資対象と資産配分を見つけ、極力そこで勝負する


何故このような事を書くのかと申しますと、これだけマスメディアがこぞって投資についての記事を取り上げることが多くなりますと、あの銘柄やこの銘柄という様に色々と目移りがしやすくなっている環境が生じ、自らの資産配分がブレてしまいます。

私のような基本的にマクロを中心に見ながらボンド(債券)を中心に資産配分を考えているような人間でも、仲の良い、いわゆる信頼できる友人から儲かりそうな株の話を聞くと心揺らいでしまいます。自分のことを納得させるためだけのリサーチ(普段自分が時間を割いて行っていることのほんの何分の一かに過ぎない)をするだけで、馴染みがあまりない投資対象に手をだすことが往々にしてあります。

「儲かりゃいいだろう?」と思われる方も多いかもしれません。確かにそれはそうかもしれないのですが、それによって儲かったお金の何ともふわふわとした、イマイチ自分の財布に収まってない感覚といったら分かっていただけますでしょうか。

これも投資対象が上がっている時ならまだいいのです。しかし、下がり出してしまうと、目も当てられません。自分自身がその投資対象に哲学を持っていないため、下がったという事実自体に不安感を覚え、到底は真っ当な判断はできなくなるでしょう。
雑誌の記事を恨むわけにもいかず、出版社に電話するわけにもいかないでしょうから、頼れるのは自分自身だけといった感じでしょうか。

なお注意点ですが、この場合の得意な投資対象というのは、日本株、アジア株、金融機関の劣後債といったアセットクラスでのカテゴライズはもちろんの事、例えば、日産の株式、Facebook(フェイスブック)の株式といったように個別のものでも構わないのです。あくまでもご自身の資産配分を考える際は、ご自身が扱い慣れた、肌で感じられるようなものを投資対象にしている方がいいという意味です。
常にホームグラウンドで落ち着いて試合をすることが重要です。


③資産配分は投資対象と同等以上に重要


これは②で述べたこととも密接に関わります。周りに投資が上手い友人がいるのであれば、尚更わかりやすいかもしれません。またいわゆる投資で名を馳せた人々(ジョージ・ソロス氏のポンド暴落に対する賭け(ベット)、ポールソン氏の米国のハウジングマーケット(住宅市場)暴落への賭け(ベット)などがわかりやすい例でしょうか)からも察せられることでしょう。
いかに自信があるアイデアで、そのアイデアがどれだけ正しかったとしても、その投資家にとって意味のある金額を配分していないと全体のリターンへの寄与度はありません。

資産配分を考える場合、ポートフォリオを作って色々なものを細かく持つことがさぞかし重要なことのように言われます。本当に上がるものがわかっているのであれば、分散などする必要は全くありません。
不動産投資でなぜ成金が生まれやすいかといえば、不動産という投資対象の性質上、投資金額が多くなることがほとんどであり、さらにはレバレッジを効かすことが当然のこととされているからです。つまり強烈な一点張りになることが多いため、当たった時のリターンは自ずと大きなものになります。この資産配分の考え方は、ポートフォリオ理論とは真逆の発想かもしれません。

また、創業者が自分の会社の経営に注力するのも、いわば同じことでしょう。
自分が一番自信のあるものに時には借金をしてまで昼夜を問わず専念し、その結果大きな利益を手にする(時には失敗して一文無しになってしまう)という行為は究極の集中投資であり、自ら起こした会社は一番の投資対象と言えるでしょう。

何も無理にギャンブルをしろというのではありません。自分自身のリサーチ、経験、哲学から生まれた自信があるアイデアには、自ずと投資するサイズも大きくなるだろう、と言いたいのです。


④意識して継続的に情報を咀嚼する


全てのまとめになるかもしれませんが、大事なことは普段から毎日、毎週自分の中で決め事をつくって同じ媒体からの情報に触れ続け、理想的にはそのアンテナを広げ続けていくといった努力を行うべきだということです。普段は意識をせずとも、長い時間にかけて続ければ続けるほど自分の思考回路の何処かに情報と経験があいまって適切な投資対象と資産配分についての知見が蓄積され続けるはずです。

そういった蓄積をベースにしつつ、普段の日常生活から得た気づき(自分の普段使っているブランド、奥様が料理の研究のために利用しているウェブサイト、プレーして感激したゴルフ場の保有会社など)が必ずマッチして投資対象に関するアイデアが生まれる瞬間があるはずです。そのプロセスこそが非常に大事ですし、その結果儲かったアイデアほど美しいものはないと思っています。

私自身も、人生で何度あるかわからないそういった経験を求めて、この仕事を続けているのかもしれません

BY N.S

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