自民党と公明党は、『平成27年度税制改正大綱』を決定した。まだ、法案としては確定していないが、ほぼこの内容で改正されることになると思われるため、重要な改正点についてまとめた。
法人税の実効税率の引き下げ
法人税が高いと、日本企業が海外に出てしまう、あるいは、日本に外国企業が来ないなどの弊害があるため、国際競争力を高める観点から法人税の引き下げについてこれまで何度も議論されてきた。今回はわずかながらではあるが、引き下げが実現した。
具体的には、法人税については、平成27年度から、現行の25.5%を23.9%に引き下げ、大法人向けである法人事業税の所得割については、現行の7.2%を6.0%に引き下げる。これらにより、国と地方を合わせた実効税率は、現行34.62%から平成27年度に32.11%(-2.51%)、平成28年度に31.33%(-3.29%)となる。
欠損金の繰越控除の見直し
過去に計上した欠損金を当期の利益から控除することができる欠損金の繰越控除であるが、それが認められる範囲について、現行は、繰越控除をする前の所得の80%が限度とされている。今回の改正により資本金が1億円以上の会社について、平成27年4月以降は、65%に、平成29年4月以降は、50%に引き下げられる。
消費税の引き上げ時期の明確化
消費税率10%への引き上げについては、その時期を平成29年4月とし、景気判断条項は付されないことになった。財政健全化を着実に進める姿勢を市場や国際社会に示し、信認を高めようとのねらいがある。
NISAの拡充
各年分の非課税管理勘定に受け入れられる上場株式等の取得対価の額の限度額を100万円から120万円に引き上げられる。また、20歳未満でも、年間投資額80万円までは口座開設を認める「ジュニアNISA」を創設する。ただし、ジュニアNISAは、18歳である年の前年の12月31日までは、課税未成年者口座以外の口座に払い出すことはできない。つまり18歳までは現金を引き出せない。