確定拠出年金の税制上の改正

(1)個人型確定拠出年金(個人型DC)への小規模事業主掛金納付制度の創設

中小企業の企業年金実施率が低いことを改善するため、企業型DCを運営できない中小企業については、個人型DCに社員を加入させ、会社はそこに会社の経費として退職金積立のための掛金を拠出でき、所得控除の対象とするというものである。

(2)個人型DCの加入可能範囲の拡大

今までは、個人型DCについては自営業者か、企業年金のない会社員しか利用できなかったが、個人の自助努力を支援する観点から、企業型DCを実施している会社の社員、企業年金があるがDCではない会社員、公務員、専業主婦(第3号被保険者)が利用できるようになった。

(3)企業年金等のポータビリティの拡充

企業合併や再編が行われていく中で、企業年金が法律上の制約によりリセットされることのないよう、年金制度を移換した後の各制度の税制上の措置を受けられるようになった。

今回の改正は、企業に稼いでもらうために法人税を減税し、地方創生を推進するためにふるさと納税の拡充をするなど、活性化のための措置を講じつつ、お金を使って経済を活性化するため、住宅資金や結婚・子育てへの贈与を非課税にするなどしている。また、NISAや確定拠出年金の自由度を高め、非課税枠を拡大して、自助努力と資本市場の活性化を狙っている。一方で、消費税増税時期の明確化、欠損金の繰越し控除の制限、国外転出をする場合の譲渡所得への課税など、一定の財源確保が図られている。

(ZUU online)