Toyota Motor Corp. President Akio Toyoda Attends Motorsports News Conference
(写真=Getty Images)

トヨタ自動車 <7203> は、2月4日、平成27年3月期 第3四半期(平成26年4月1日〜平成26年12月31日)決算短信(連結)を発表した。それによると、第3四半期の営業利益は、2兆1148億円となった。さらに、3月期の営業利益の業績予想は2兆7000億円と前期比17.8%の増加と見込んでいる。

第三四半期の自動車販売台数は、日本では、前年同期比6.9%の減少となったが、海外では、1.3%の増加と好調だ。営業利益でみても、北米が80.6%の増益、欧州が54.2%の増益となっている。

トヨタ自動車が2兆円を超す利益を出す見通しとなったことで、ベースアップ(ベア)の要求が強まることは必至だ。また、下請け企業に対する利益還元も求められるだろう。

トヨタ自動車は、時価総額26兆円と群を抜いた日本最大の企業であるから、政府も景気回復の象徴として、トヨタ自動車を儲からせるための政策をこれまで打ってきた。幸い、量的緩和による円安が進み、海外での自動車販売が好調となり、政府はトヨタ自動車にひとつ借りをつくったような形になっている。アベノミクスのうたい文句である「デフレ脱却」を果たすためにも、賃上げは欠かせない。政府から直接の要請がなされなくても、日本を代表する企業としてトヨタ自動車は、先頭を切って賃上げをしていかなければないだろう。

実際、トヨタ自動車は、15年春闘で賃金改善(ベア)をする予定であるとしている。トヨタ自動車労働組合は、月額6,000円程度のベアを要求する方針を固めており、日本郵政グループ労働組合も組合員1人当たりで月額約6,000円のベアを要求する方針なので、これら要求が牽引役となり、全体として高水準の賃上げが実現するかもしれない。


ベアや利益還元においても驚くような回答を期待

厚生労働省が4日発表した「毎月勤労統計調査 平成26年分結果速報」によると、現金給与総額(1人当たりの月間給与)は、31万6694円で、前年比0.8%増加と、わずかではあるが4年ぶりに増加に転じた。しかし、実質賃金は、前年比2.5%減と依然厳しい状況にある。政府は、「増税の影響が薄れて、4月以降は実質賃金もプラスに転じる」としているが、現時点では微妙な状況である。

実質賃金がプラスにならなければ、消費も増えないので景気の好循環は生まれない。また、下請け企業は、円安により原材料の仕入価格が上がっており、むしろ収益が悪化しているところもある。このような中小企業に対して円安で儲かった企業が利益を還元していかなければ、富の偏在がおこってしまい、やはり景気の好循環を阻害することになる。本来、富の偏在は税によってコントロールするのが適切であるが、法人税減税が叫ばれている現状では、それは難しいので、企業の自主性に任せるしかない。

このように、賃上げや利益の還元はどんどんすべきなのだが、注意すべき点としては、これら要因は原価を押し上げることになるので、国際競争力の点でどのような水準までなら原価を引き上げられるかを慎重に考えなければならない。コストの面で国際競争に負け、売上が減少するようになれば、一気に企業収益が悪化するからである。売上低迷により、雇用が守れなくなっては本末転倒なので、その水準を見極めることが重要である。

日本自動車工業会の「自動車関連産業と就業人口」によると、日本の自動車関連就業人口は547万人で、わが国の全就業人口6,311万人の8.7%を占めている。全体の1割弱というと少ないように思われるかも知れないが、10人に1人は自動車関連と考えると結構大きな割合である。その意味でも、トヨタ自動車がベースアップすることは、日本経済にとって、重要な意味を持っている。水素自動車の特許を公開するという英断をしたように、トヨタ自動車には、ベアや利益還元においても驚くような回答を期待したいところである。

(ZUU online)

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