カーエレクトロニクス
(写真=Thinkstock/Getty Images)

自動車が電子製品の度合いを高めるにつれ、自動車の安全機能とカーエレクトロニクスがますます重要になってきている。

警察庁がまとめた「交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締り状況について」によると、2014年中の交通事故による死亡者は4,113 人だった。交通事故による死亡者は年々減少している。特に自動車乗車中での死亡者は1993年の 4,835人をピークに、2014年には1,370人にまで減少した。これは、1990年代からのエアバッグシステムの急速な普及と時期を同じにしている。現在、エアバッグシステムの装着率は北米、欧州、日本でほぼ100%になった。

一方で、歩行者の安全には依然として問題が残っている。2014年の交通事故による死亡者のうち、歩行者は1,498人で全体の36.4%を占めた。これは自動車乗車中の死亡者の33.3%より多い。

エアバッグがほぼすべての乗用車に搭載されたように、人命に関わる技術は広く普及する可能性が高く、メーカー同士の開発競争も激しくなる。エアバッグが普及した現在、次の安全対策の分野は、いかにしてドライバーを補助して歩行者を守るかに移ってきている。


各自動車メーカーが工夫を競い始めたADAS

この分野の技術のひとつにADAS(エーダス Advanced Driving Assistant System)がある。センサーを用いて、いち早く歩行者や前走車などの危険を察知し、ドライバーの運転を支援するシステムだ。

ADASによって前走車や歩行者との衝突防止、車線からの逸脱防止が期待される。このシステムの肝は、いかに早く、そして正確に前走車や歩行者を検出するかにある。この課題をクリアするためにADASには主にミリ波レーダー、赤外線レーザー、カメラなどが用いられている。

これらのセンサーにはそれぞれ検出するものや状況に得手不得手がある。ミリ波レーダーは高速運転中(時速145キロメートル前後まで)、赤外線レーザーは低速運転中(時速45キロメートル前後まで)での検出に向いているが、歩行者の検出は不得手だ。歩行者は自動車などに比べ、照射した電波や赤外線が反射しにくいからだ。カメラはミリ波レーダーや赤外線レーザーが検出しにくい歩行者や、近距離の障害物の検出に用いられる。各メーカーはこれらの方法をさまざまに組み合わせて、システムを提案している。

ホンダ <7267> が2014年10月に発表した「ホンダ センシング(Honda SENSING)」は単眼カメラとミリ波レーダーを組み合わせている。また、富士重工業 <7270> の「アイサイト(EyeSight)」はステレオカメラを採用し、マツダ <7261> の「SCBS」と「SBS」は赤外線レーザーとミリ波レーダーを組み合わせている。

これらのセンサー類のサプライヤーもさまざまだ。「ホンダ センシング」のカメラは日本電産エレシス、そしてミリ波レーダーは富士通テンが供給している。富士重工業の「アイサイト」のステレオカメラは日立オートモティブシステムズの供給。マツダにミリ波レーダーを供給しているのはデンソー <6902> 、赤外線レーザーは米コンチネンタル・オートモーティブ(Continental Automotive)だ。

さらに、これらのセンサー情報を処理するためのプロセッサも重要な要素だ。ADAS向けに参入しているメーカーには、ルネサスエレクトロニクス <6723> 、東芝 <6502> 、米テキサス・インスツルメンツ(Texas Instruments)、ブロードコム(Broadcom)、フリースケール・セミコンダクタ(Freescale Semiconductor)、NVIDIAなどがある。各社、ADASの性能を高めるための動きが活発になっている。


ICTと安全機能の組み合わせが持つ市場の可能性

エアバッグがそうであったように、ADASも近い将来、すべての自動車に搭載されるようになるかもしれない。しかしエアバッグとADASが異なるのは、ADASはその多くの部分がICTにかかっていることだ。

自動車の世界はパソコンほど標準化する速度は速くないが、技術の統合と集約が進んでいくことも確かだ。自動車の分野にグーグル(Google)やアップル(Apple)が参入してくることもあり、今後、ICTが集約の中心になるかもしれない。

そのときの市場は、自動車単体が対象だったエアバッグシステムとは比較にならないほど大きくなる可能性がある。ICTは自動車だけでなく、他のさまざまなものと通信し、その安全性能を高められる可能性があるからだ。各自動車メーカーとともに、カーエレクトロニクスを支えるICTメーカーにも注目したい。 (ZUU online 編集部)

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