マイホームの取得で使えなくなる「小規模宅地の特例」

一言でいえば、「マイホームを購入する子や孫に、最大3,000万円の資産が非課税で贈与できる」制度であり、マイホーム取得に適した年齢の子や孫がいる被相続人は、「ぜひ利用したい!」と思われるだろうが、利用上の注意点もある。被相続人の生前時で考えるとこの制度を利用するメリットは大きいが、亡くなった後まで含めて考えれば利用することが必ずしもベストとは言えないのだ。

なぜなら、この制度を利用して相続人がマイホームを取得すれば、別の相続税対策「小規模宅地の特例」との併用が不可能となっている。「小規模宅地の特例」の適用では被相続人の住居の土地評価が「最大80%引き下げ」という大きな節税メリットがあるが、住居を引き継ぐ相続人がマイホームを所有していないことが条件である。


住宅資金贈与は専門家判断がベター

つまり、被相続人の生前時に住宅資金贈与を行って「最大限の節税ができた!」と思っていたら、その後、被相続人が亡くなった時に「生前贈与を受けない方がもっと節税できたのに…」ということになりかねない。

「小規模宅地の特例」と「住宅資金贈与」のどちらを選択すると良いかは、家族構成や資産状況によって異なってくる。大事なことは、「最大3,000万円も非課税で贈与できる」という現時点のメリットだけに惑わされず、後々までシミュレーションしてプランニングすることである。

相続に強い税理士に、「わが家の場合、小規模宅地の特例と住宅資金贈与のどちらを利用すると良いか?」と質問すれば、明確な答えを出してくれるだろう。目先だけの節税をしてしまわないようくれぐれも注意したい。(ZUU online 編集部)

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