3月19日の取引からダウ工業株30種平均(以下ダウ平均)の構成銘柄にアップル がAT&T と変わって採用となった。時価総額では世界最大。IT分野でイノベーションを起こしてきたアップルだが、なぜこのタイミングでダウ平均に採用されるのだろうか。


ダウ平均は単純平均の指数

ダウ平均は1896年に誕生。12銘柄の単純平均株価としてスタートし、1928年からは30銘柄に増えた。米国を代表する30社を選ぶという観点で採用銘柄を決定しているものの、明確な基準はなく、『ウォール・ストリート・ジャーナル』の編集長と、シカゴ・マーカンタイル取引所、ダウ・ジョーンズ・インデックスの調査担当による協議で決定している。

具体的な銘柄を挙げると、ボーイング 、ウォルト・ディズニー・カンパニー 、ゴールドマンサックス 、ザ コカ・コーラカンパニー 、マクドナルド など有名企業が並ぶ。算出方法は現代の指数算出で主流の時価総額加重平均ではなく、単純平均を採用し続けている。この算出法が現在に至るまでアップルが採用されなかった理由と考えられる。


ダウ平均採用のアップルは今がピークなのか

ダウ平均は、銘柄の入れ替えや株式分割などがあると指数の連続性を保つために、株価合計を除数で割って算出されている。そのため、株価が他の採用銘柄と比して著しく高いアップルを構成銘柄に加えると、アップル1社の値動きでダウ平均が大幅に変動してしまうために、採用を躊躇していたと考えられる。

実際、ITバブルに沸いていた1999年にマイクロソフト をダウ平均に採用したが、その後ダウ平均は大きく下落した。理由は、マイクロソフトが当時世界最高の時価総額で、株価が最も高かったタイミングでの入替だったために、寄与度の大きい同社の下落がダウ平均にも影響を与えたためだ。

そして、ダウ平均に採用されたときが株価のピークであるという状況もこういった過去から来ているものと推察される。確かに、米国を代表する銘柄を採用するという性質上、誰もが知る成熟した有名優良企業が採用されるため、急激な成長はあまり期待できないことから、ダウ平均採用=高値圏という現象はあながち間違いではないのかもしれない。


今後もイノベーションを起こし成長するのか?

アップルは、2014年6月に株式分割を発表し、株価が約7分の1となったことで、他のダウ平均採用銘柄と株価水準が近くなった。そのため、アップル単体でのダウ平均への寄与度が小さくなり、採用へ踏み切ったと考えられる。

Apple Watchやモバイル決済サービスのApple Payなど革命を起こし続けているアップルであるが、株価については過去のマイクロソフトと同様の道を辿るのか、それとも更なる成長へ向かうのか、最高値更新しているダウ平均の動向とともに、目が離せない。(ZUU online 編集部)

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