EV
(写真=Thinkstock/Getty Images)

度々深刻な停電に見舞われるアメリカの送電網の事情が、電気自動車(EV)とリチウムイオン電池の需要を大きく押し上げるかもしれない。


頻繁に起きる米国での停電

2015年4月7日、ワシントンで大規模な停電が発生。広い範囲で信号機が消えたほか、ホワイトハウスなど多くの政府機関、地下鉄の運行にも大きな影響を及ぼした。

アメリカでは停電が多い。2010年のエネルギー白書によると、2000-2007年の日本の需要家一件あたりの平均停電時間は26.38分/年、需要家一件あたりの停電回数は0.19回/年だった。一方、アメリカでは停電時間は87.39分/年、需要家一件あたりの停電回数は0.87回/年に上り日本でより頻繁に停電が起きている。

2003年にもニューヨークで大停電が起き、大きな損害に見舞われた。アメリカ政府はこれらの事態を重く受け止めて、不安定な送電網の改善に乗り出している。アメリカでの停電の原因の一つに、電力市場の自由化と需要の拡大に対して、送電線や変電施設などのインフラ設備の増強がなかなか追いつかないという事情がある。
よって、アメリカ政府は送電システム全体の強化よりも、スマートグリッドに重点的に取り組む方針を示した。2005年の「エネルギー政策法」ではデマンドレスポンスによるピークカットや、負荷移動といった施策が取り上げられている。


アメリカで光る日本の電気自動車

アメリカにおけるスマートグリッドの推進が、電気自動車(EV)とリチウムイオン電池の需要を大きく押し上げる可能性を秘めている。ここで注目したいのがビークル・トゥ・グリッド(V2G)だ。V2Gは電気自動車のバッテリーに蓄積されている電力を電力系統と双方向にやりとりする技術だ。

このV2Gは日本よりもアメリカで大きく花開く期待が持てる。その理由はスマートグリッドの推進方針の違いにある。

日本のスマートグリッドは、いかに電力系統に再生エネルギーを組み込み、活用していくかという観点で進められている。そのため、発電所からの送電から需要家への配電を一体的に考え、最適化するよう進められている。

一方、アメリカのスマートグリッドは下流の配電網の整備に重点が置かれ設計されている。その背景には電力事業の自由化が進んでいるため、各電力会社が行う送配電施設への投資が停滞しているという状況がある。

そのため送電網の不安定さに対して抜本的な対策を行うより、送電の不安定さを、配電を多数のバッテリーや細かな制御によってスマート化することで補おうとしている。

このアメリカでの配電網重視のスマートグリッドとエコカー需要が組み合わさることで、大きな蓄電池とそれを搭載する電気自動車の需要の拡大が期待できるというわけだ。


恩恵を受けそうな日本企業はどこ?

大きく恩恵を得るのは電気自動車に積極的な日産  <7201>  ではないだろうか。日産は世界ではじめて量産型電気自動車「リーフ」を発売し、2014年にはアメリカでの電気自動車の販売台数は、日本製電気自動車の中ではトップとなる3万200台だった。

2015年3月にはスペインの電力会社と提携し、自宅で発電し電気自動車に蓄えた電力を電力会社に販売できるようにし、着々とV2Gへ布石を打っている。

またパナソニック  <6752> も電気自動車製造販売のテスラモーターズと提携しており注目される。テスラモーターズは2014年第4・四半期の販売台数は9,834台だった。

現在、電気自動車の普及はまだまだ進んでいない。また調査会社IHSオートモーティブによると電気自動車の世界販売は2020年になっても100万台に届かないとされている。

しかし、電気自動車と電力系統の安定化という需要が結びつくことで、一気に市場が拡大する潜在性がある。またアップルやグーグルのような他業種からの参入に寄って、全く新しい市場が出来上がる可能性もあり、今後の動向が注目される。(ZUU online 編集部)

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