○ 投資失敗のリスクとの向き合い方


このように、投資信託では、詐欺的なものを除き、法律的なリスクはないため、投資判断の失敗によるリスクを回避してベネフィット(利益)を得ることが目的となります。
では、投資判断の失敗によるリスクとはどのように向き合えばよいのでしょうか。

結論的には、投資信託において、投資の失敗の可能性を100パーセント回避することはできないと言えます。これは、投資信託に限らず、どのような金融商品であっても投資判断のミスのリスクは負担しなければならず、100パーセントリスクを回避することはできないのが投資です。

たしかに、株式投資・FXなどと比べれば、投資信託では、格段に判断ミスによる損失の危険性は低くなります。しかし、投資の失敗の可能性は常に存在します。そのため、投資信託では失敗しても良いというお金を使って投資をすることがもっとも重要となります。決して現在の生活資金や将来5年から10年程度に必要となる資金(例えば、ご子息・ご息女の結婚のための資金など)を投資信託に回してはいけません。

これらの生活資金・将来資金を差し引いて、なお余剰がある財産で投資信託をすることが投資信託を安心して活用するための最大のコツといっても過言ではありません。

特に、投資で失敗してしまった場合に労働で損失を回復することが難しいシルバー世代の方々(60代・70代の方)は、これを鉄則としていただければと存じます。

投資失敗のリスクを完全に回避したいと考えるのは、例えるならば、死を回避したいと願うに等しいとも言えます。それは不可能なことです。(だから、死を前提に毎日を活力を持って生きるのが大切であると思います。)

これと同じように、投資信託も損失が生じるおそれは常に存在しますので、余剰資金で行うことが必要です。
なお、金融証券取引法ではセールスマンが「必ず儲かる」などの断定的判断をすることを禁止しているので、「必ず儲かる」などという商品はかえって怪しいと思ったほうが良いといえます。

このように投資信託はリスクを受け入れた上で、余剰資金でコツコツと行っていくことが重要です。


○ やや応用として為替リスクに注意


以上が投資信託の基礎知識となりますが、やや応用的なポイントとして為替相場の変動と投資信託について少し述べたいと思います。

かつて(といっても相当昔のことですが)1ドル=360円といったように固定されていた時代もありましたが、現在は日々刻々と相場は変化しています。
この相場の変動は投資信託商品のうち、海外の債券などに投資する商品に影響を与えることになります。例えば、1ドル=100円の時にファンドが購入した海外の株式は、1年後に1ドル=120円となっており、売却で利益を受けることもあれば、1ドル=80円となっており売却で損を出してしまうこともあります。このような損得のリスクを為替リスクと呼びます。投資信託の商品を購入する際に、海外の金融商品に投資する商品を選ぶ場合には、この為替リスクの可能性についても把握しておく必要があります。

現在(平成25年11月下旬)は、ずっと続いていた円高傾向から円安傾向となりつつあります。ただ、まだまだ予断を許さないということができるでしょう。海外の金融商品を扱うファンド・投資信託商品購入にあたっては為替の動きについて勉強・配慮することも重要になってきます。

by S.K:行政書士

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