株取引を行うにあたっては、「証券口座」を開設する必要が出てくる。証券口座とは、証券会社の口座のことで株取引を行うための専用口座のことを指す。銀行で開設する口座をイメージすると分かりやすいかもしれない。銀行ごとに口座の利息が異なるように、証券口座も証券会社ごとに株取引にかかる手数料が異なってくる。証券口座の特長によって、証券会社を選ぶのも一つの選択肢である。
証券口座は大きく分けて3つに分かれており、「源泉徴収ありの特定口座」、「源泉徴収なしの特定口座」、「一般口座」から構成されている。3種類の口座の違いは、ざっくり言うと税金の支払方法と確定申告の免除の有無だ。
これから証券口座を開設するのであれば、一般口座はあまりおすすめできない。特定口座とは異なり、年間取引明細書が発行されないため、すべて自分で損益を計算して確定申告を行わなくてはならないからだ。
しかし、2010年まではみなし取得費の特例と言って、みなし取得費と実際の取得費のどちらかを選択できる措置がとられていた。しかし、現在では廃止されている制度だ。株初心者であったり、確定申告に時間を割いたりしたくない場合は特定口座の開設が良い。
【源泉徴収あり特定口座】メリット
源泉徴収ありの特定口座の場合、利益がでた時点で所得税20%と復興特別所得税2.1%が自動的に差し引かれる仕組みになっている。会社勤めの場合、源泉徴収として給料から天引きされていると思うが、要はそれと同じである。既に所得税が支払われていることになるため、改めて確定申告をする必要がないというのが、源泉徴収ありの特定口座を選ぶメリットだ。
また、専業主婦や学生であればさらにメリットがある。多くの場合、配偶者や親の扶養に入っていることだろう。しかし、扶養に入っていても収入がある場合は、金額が38万円を超えると確定申告をしなくてはならない。もし98万円を超えていたら住民税を払わなくてはいけない。
さらに130万円を超えていたら、扶養から外れ、自分で年金や健康保険料を払わなくてはいけなくなる。しかし、源泉徴収ありの特定口座の場合はあらかじめ所得税が引かれているため、いくら利益があっても確定申告しなくてもよいので、扶養から外されることはない。社会保険や住民税などの面でメリットがあるので、扶養家族に該当する場合は是非押さえておきたい。
【源泉徴収あり特定口座】デメリット
源泉徴収ありの特定口座を選択した場合、利益を得た時点で所得税と復興特別所得税として22.1%が引かれたうえで、口座に振り込まれる仕組みになっている。そのため、高額になるほど投資に回せる資金が減ってしまう。ただ、短期的な株の売買ではなく、長期的な投資をするのであればそこまで気にしなくても良いかもしれない。
以上、源泉徴収ありの特定口座は、確定申告についてよく分からない場合や億劫な場合、また扶養家族になっている場合は選択するメリットがある。
【源泉徴収なし特定口座】メリット
源泉徴収なしの特定口座の場合は、源泉徴収ありの場合と違って利益を得た時点で所得税は差し引かれない。サラリーマンの場合は、株取引の利益が20万円未満であれば確定申告をする必要がないので、還付申告する手間なく、利益をそのまま手にすることができる。少額取引を行う場合や長期的な投資の場合は、源泉徴収なしの特定口座のほうが向いている。
また、利益の額によって確定申告が必要になった場合でも、一般口座とは違って証券会社から年間取引報告書が発行されるため、取引全てを自分で計算する必要はない。特に、取引回数や取引銘柄が多い場合は、計算もより複雑になるため、同じ源泉徴収なしでも一般口座よりも特定口座を選択したほうが、メリットがある。
また、扶養を気にしなくて良いため損失が発生した場合は確定申告時に損益通算をすることによって、節税効果を得られるというメリットがある。さらに取引回数が多い場合や複数の証券会社の口座を所持する場合は、損益通算や損失の繰越控除を行う機会も出てくるため、源泉徴収なしにしていたほうが良い面もある。
【源泉徴収なし特定口座】デメリット
源泉徴収ありの特定口座との大きな違いは、サラリーマンであれば20万円を超える利益を出した場合、自分で確定申告を行わなければならないということだ。また、給与が2000万円を超える場合や2ヶ所以上で給与が発生している場合には、利益が発生したら20万円以下でも確定申告を行わなくてはならない。
確定申告が億劫な場合は、源泉徴収ありの特定口座を選択したほうが賢明だろう。
さらに、源泉徴収あり特定口座のメリットの項でも述べたように、主婦や学生など扶養家族になっている人が確定申告をすると、利益額によっては扶養から外れてしまうことになる。しかし、源泉徴収なし特定口座だと38万円を超える利益が出たら必ず確定申告をしなければならないので注意しておきたい。扶養から外れることにより、社会保険や住民税等控除の恩恵は受けられなくなるため、結果的に税金面での負担が増えてしまうことになる。
以上、口座を選択する場合は、メリットやデメリットを把握した上で、自分にあった証券口座の種類を選択することが大切だ。
おすすめの証券会社
次に、証券口座の種類を決めたら、どの証券会社に口座を開設するか考えよう。そもそも証券会社は店舗型証券会社とネット証券会社の2種類ある。最近では、ネット証券会社の人気が高まっている。ネット証券の場合、取引1回あたりの手数料が、店舗型に比べて数千円単位で安かったり、口座開設から金融商品の購入まで全てをオンラインで完結できる点が魅力的で、投資初心者からの人気も絶大だ。
ネット証券会社の中でもおすすめの証券会社3社を簡単に紹介していこう。これから紹介する3社はそれぞれ強みが異なるので、それぞれのサービスの優れている所を利用するとよいだろう。口座開設の手順、必要事項はどの証券会社もほとんど変わらないため、まとめて複数社に口座開設すれば後々また同じことをする手間が省ける。
【SBI証券】
口座開設数300万人突破の、ネット証券界の最大手「SBI証券」はまず必須の証券会社といえるだろう。最大手のため、、取扱商品は網羅的で豊富、どのサービスも優れている。
さらに株式投資の初心者に役立つコンテンツやセミナーなどが多数用意されているのも非常に心強い。3200銘柄以上の株式を1株から購入できるミニ株など少額投資用の商品も揃えており、気軽に投資を始めることが可能だ。
【マネックス証券】
まずは、少額から投資をはじめたいという初心者におすすめのネット証券が「 マネックス証券 」だ。約定金額30万円以下の株式売買手数料がネット証券大手の中ではGMOクリック証券についで安い。また、1株から購入できるミニ株の取扱や1万円から購入できるマネックス債など少ない資金で購入できる商品か非常に充実している。
またパソコンの操作で疑問が生じた場合にも、テレフォンサービスを利用して即時対応してくれるなど、顧客へのケアが行き届いており、初心者に優しい証券会社といえる。
【楽天証券】
投資初心者に嬉しい、口座保有者が利用できるツールとデータベースの充実度が群を抜いているのが「 楽天証券 」だ。
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特に優れた機能はやはり、 「日経テレコン(楽天版)」が利用できる点だ。「日経テレコン(楽天版)」では、東証上場企業の7割以上が導入している信頼性の高いデータベースサービス「日経テレコン21」のなかから、日本経済新聞や日経速報ニュースの閲覧、日経産業新聞、日経MJなどの閲覧(3日分)、また過去1年分の新聞記事検索などが利用できる。