日通、業界初の新サービスをスタート

日本通運も3月27日から東京とマレーシアのポートケランを最短14日で結ぶ船便で、業界初となる海上リーファー(冷蔵)混載サービスを開始した。特長は、混載できるようになったこと。今までは、リーファーコンテナを埋めることができなくても一回ずつ仕立てる必要があったが、着港するポートケランの保税対応された冷蔵施設で仕分けできるようになったことで、混載輸送が可能になった。

積み荷の中に農水産物や食品が増えてきているか聞いてみたところ、「以前に比べ、日本酒やコメなど、食品や農産物の輸送に関する問い合わせが増えてきているのは確か」(日通・広報)という。ほかにも、青果類やチョコレートなどの加工食品のニーズも高まっているそうだ。

従来のコンテナを仕立てる場合よりも混載サービスを利用することで、例えば1トンの貨物を輸送した場合、約70%の輸送コストを削減できることになる。それならば、リーファー混載がすなわち輸出拡大へと直結するため、各地へ輸送可能にすればいいと考えてしまうが、到着する港に保税対応された冷蔵、冷凍の設備が必要になる。そのため、東南アジア地域では現状、冷蔵ではマレーシア・ポートケランと香港のみが対応。冷凍でも香港、シンガポール、バンコクに限られるなど、受け入れ態勢が整った港の数は多くない。


訪日観光客と農産物輸出をリンク

ヤマト運輸も国際クール宅急便のサービスを、香港に続いて3月30日より台湾で開始。これにより、台湾全土のホテルやレストランなどの事業者はもちろん、一般の家庭でも気軽に日本の食材を手に入れることが可能になる。日本では珍しくなくなった保冷機能を備えた車両を、台湾でヤマト運輸とライセンス契約を結ぶ統一速達が整備。ラストワンマイルのサービスを行えるようになったことが大きい。

昨年の統計によれば、親日的な台湾からの訪日観光客は、韓国、中国を抑えて一番多く、かつリピーターも多い。また、台北市街を歩くと感じるのが日本食レストランの多さ。今後、例えば現地のレストランで、三陸沖のサンマや厚岸産のカキ、取れ立ての聖護院大根などが「今日のオススメ」として出てくるかもしれない。