生鮮食品輸出はまだ始まったばかり

1兆円に向けてようやく6千億円を突破した日本の「食」輸出だが、今回のような生鮮食品はまだまだ微々たるものでしかない。水産物であればホタテ貝の次に輸出額の大きい品目は、食品ではなく宝飾品の真珠でその額は245億円に達する。農産物でも輸出額が一番多いのは菓子類の148億円、ついで清酒の115億円と続く。

ただ、生鮮食品も含め農水産物・食品輸出は、まだ夜が明けたばかりだ。前年比でみるとコメや切り花、牛肉など確実に増えてきているものもある。JA十勝かわにしの海外輸出への取り組みで有名になった「ながいも」も、昨年度は24億円にまで伸びており、今後の農家や地方自治体の取り組みいかんでは、数年後、意外な作物が人気の輸出品目に挙がっているかもしれない。

人口減少による市場の縮小、後継者不足、食糧自給率の低迷など多くの問題を抱える日本の一次産業だが、農協改革と同じく、外国人観光客の増加は解決のヒントになるはずだ。訪日をきっかけに日本食の魅力を知ってもらい、帰国後も日本食を身近なものにし、さらなる訪日のモチベーションに変える。


参考にすべきは?

参考になるのはイタリアだ。農産物の輸出額は3兆円を超え、ワインやパスタ、チーズなど食文化を輸出しているようなもの。そう考えれば、日本食の伸び代は大きい。日本食の売りは刺身に代表されるように新鮮さ。そういった意味でも、現地のインフラ整備を含めた物流環境の充実が未来へのカギを握っているといえる。

(この記事は4月21日号「 経済界 」 に掲載されたものです。)

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