世界中で魚需要が急上昇-未利用率9割の魚の利用率を上げよ!

(この記事は2015年3月1日に掲載されたものです。提供: Biglife21 )

魚離れが進む日本。魚介類の需要は1980年代をピークに過去30年下がり続けている。片や海外では魚介類の需要が急上昇。欧米の健康志向や中国など新興国の経済成長などを背景に争奪戦が繰り広げられつつある。世界中の争奪戦に取り残されないためにも、水産資源の確保が求められる。とりわけ9割と言われる魚の未利用率を上げることは喫緊の課題だ。


全世代が肉にシフトする日本

四方を海に囲まれ、親潮と黒潮が交わる世界的な漁場を持つ日本は、世界的な魚食国である。だがその需要は1980年代半ばにピークを打った後、一貫して下がり続けている。とくにこの10年ほどは日本人の魚離れが深刻化している。

水産庁の調査では、従来であれば50代、60代と加齢とともに肉から魚にシフトしていく「加齢効果」が見られなくなり、全世代での肉へのシフトが進んでいることが判明した。

こうした情勢に鑑み、水産庁は水産資源の内需拡大策を図り続けている。手軽で調理時間の短い「ファストフィッシュ」の開発を後押ししたり、スナック菓子など新たな特産品の創出など地味に活動を続けている。

消費者目線に立てば、良質のタンパク源を調理がしやすく満足度の高い肉に求めたとすれば、それは市場の理にすぎない。まして人口減少下の日本においては、需要減は致し方ない面もある。もとより漁業は高齢化、後継者不足を抱える産業だ。需要に合った供給という点からすれば、一概に嘆くことばかりではない気もする。

だが問題は、こうした事象が日本だけに見られることだ。


山岳国ネパールでも養殖がはじまる

FAO(国連食糧農業機関)によれば、世界の1人あたりの水産物消費は50年前の約2倍に上昇している。欧米の健康志向や新興国の経済成長などが背景にある。とくに最大人口を抱える中国が刺身まで食べるようになったことは大きい。

実際、日本人が好きなマグロは高級魚として知られるようになり、中国の業者が築地などで大量に買い付けるようになった。高級魚だけではない。マイワシなどの大衆魚が買い付けられることもある。人が捌いて食べるのではなく、養殖用の餌として、だ。

実は世界的な魚食市場の広がりに伴い、世界中で養殖を手がける国が増えているのだ。最近ではなんと山岳国のネパールでも養殖が本格化し、農家がこぞって取り組みはじめているという。