どうだろうか。特許内容が、証拠として活用される危険性を認識できたろうか。では、明細書などに使用される用語は如何にすべきなのか。好ましくない用語としては、従来の製品は、「危険である」、「けがのおそれがある」。新製品は、「安全である」(その反作用で従来技術は「安全でない」と推定されるため)、といったものがあろうか。一方、好ましい用語としては、「安価に製造可」、「組立てが容易」、「補修が容易」、「部品点数が少ない」、「経済的」などがある。

なお、PL訴訟に使われてしまう危険も注意だが、自分たちの貴重な技術資源を惜しげもなくばらまいている危険性も考慮すべきである。実際にこういった方たちはいるのだ。ある会社の社長が言うには、開発担当に特許明細書を書かせると立派なものができる。技術内容をよく知っているので、微に入り細に入る特許明細書が作れると、自慢していた。

これは、大変に危険な行動であることを知らなければならない。

まず、特許の原則は、「公開代償」ということ。公開しただけの範囲でもらえるである。やらずぶったくりでは、余りにも人が良すぎる。権利をもらえる範囲のものだけを公開すればいいのである。慈善事業では無い、ギバー(与えるだけの者)に成り下がることは、企業を崩壊させるだけということを知るべきである。ギバー、テイカー(受け取るだけの者)、そして、マッチャー(もらった分だけ出す者)の3通りあるが、この場面では、完璧なマッチャーであるべきである。ビジネスは「平和時の戦争」だからである。

何より、他社の知財部の視線に鈍感になってはいけない。彼等は狙っている。ある知財部員に聞いたのだが、開発専門家が書類を読めば、その会社の研究体制や方向、そしてまた隠している内容が、手に取るように分かるものだそうだ。

産業スパイに言わせれば、公開された情報だけで、獲得したい情報の90%は入手できるという。であるから、特許文書の作成には、極度の慎重さが要求される。いわく、「慎重(情報の開示)にして大胆(常識的でないアイデア)」を貫くべきである。

(提供: BigLife21

(ZUU online 編集部)

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