「DIY」「カスタマイズ」という言葉は、一般住戸だけではなく、賃貸住宅においてもキーワードになりつつある。入居者が自ら手を入れられる賃貸住宅は2011年頃から世に出回り始め、同年「DIYP」というDIY可能物件だけを集めたサイトも登場。
その後、UR都市機構やレオパレスなどの大手事業者がカスタマイズ可能物件の提供を始めた。さらに、2014年3月に国土交通省が入居者自ら改修する新しい賃貸借契約形態を提示したことでニーズに拍車がかかった。
リフォームや自由なカスタマイズが できたらいいのにと思ったことのある層の割合
今年の1月にはリクルートのSUUMOが「カスタマイズ可・DIY可」の物件検索サービスを開始。現在、全200万件超の掲載物件のうち、約4万件がこの「カスタマイズ可・DIY可」物件となっている。2011年当初は同様の物件がゼロに近かった状況を考えると、急激に物件数が増えている。
消費者のカスタマイズ・DIY意向を調べた調査(リクルート調べ)では、賃貸部屋をリフォームや自由にカスタマイズできたらいいのにと思った割合は9割近くに達していた。
しかし、日本で入居後に壁塗り、壁紙の張り替えを行っている割合はわずか3%。ニューヨークの47%、パリの57%と大きな開きがある。ニーズはあるが、原状回復のルールがあるために、実際には手掛けられていない実態が分かる。では、オーナー側が断固拒否しているかというとそうではない。
どの程度カスタマイズを受け入れるかの調査では、大規模カスタマイズを全額オーナー負担で検討できると答えた人が5割を超えた。「一部のオーナー負担なら検討」も含めると8割を超える。
さらに、小規模改修であれば、9割のオーナーがカスタマイズに前向きだ。このデータは、築年数が古くなり競争力が厳しい物件であれば、という条件こそ付くが、"カスタマイズ"のキーワードのもと、入居者とオーナーマッチングができる可能性が見えてくる。
賃貸カスタマイズ・DIY普及のKEY
(1) 人の介在
(2) ショップの改革
(3) 気軽な体験
(4) 手順書
(5) アイテムの絞り込み
ただ、海外と比較すると日本の市場は動き出したばかり。
さらなる普及にSUUMOの池本洋一編集長は、(1)人の介在、(2)ショップの改革、(3)気軽な体験、(4)手順書、(5)アイテムの絞り込み―――の5つのキーワードが必要と考える。
(1)の人の介在とは、利用者とモノとの間に入るコーディネーターの必要性。外国人と比べインテリアへの関心度が低い日本人は、部屋に合う壁紙をアドバスするなどのサポートが重要になる。
(2)のショップの改革とは、DIYを体験できる場の構築、そうした場所などで(3)の気軽な体験をしてもらえれば生活者の参入障壁が大きく下がる。
そして、実際にDIYにチャレンジする上での(4)手順書をもとに(5)ある程度絞り込んだアイテムを提供することで、入居者の取り組みが進むとの見方だ。
賃貸でも自分の好みの部屋に変えられる時代が訪れつつある。(提供: リフォーム産業新聞 )
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