米国クラウドソーシング市場は桁違い
一方、世界的にこの市場で大きな進展を見せ続けているのが米国だ。そもそもオバマ政権が発足後、クラウドソーシングを国として積極活用することが宣言され、米国の政府各省庁も本格的に利用し始めていることが市場拡大にもつながっている。
米国政府のクラウドソーシング利用に関するアナウンスメントによると、次のような点がその積極利用の理由として挙げられている。
- クラウドソーシングによりイノベーションが図られる。オープンイノベーションの促進を民間企業へと移管していくことで、米国の国際的な競争力を短期間で高めることが可能となる
- クラウドソーシングによる飛躍的なコスト削減とスピードの実現。米国政府の試算ではコストは平均して20%以下、業務のスピードは5倍以上を実現できるとされている
このようなことから、米国ではすでに航空宇宙局(NASA)など最先端の知識や技術を必要とする組織でも活用が進んでいるという。NASAでは、高度な技術的問題を解決するためにオープンイノベーションを支援する米・イノセンティブ(InnoCentive)社のサービスを活用。
同社は米・インディアナポリスに本拠を置く製薬大手のイーライリリーの経営陣い加わっていたアルフェース・ビンガム氏によって立ち上げられたもので、さまざまな解決困難な課題と専門的な知識を持つ人々をつなげるプラットフォームを提供している。今では、NASAが抱えていた問題の一つも、イノセンティブのサービスを通じて解決したことなどが知られている。
ほかにも、国防総省(ペンタゴン)といった通常では外部のリソースを使って問題解決に取り組むとは考えられないような部門でも、クラウドソーシングによる適切なケイパビリティをもつ人材の調達が行われているのだ。