隣国の韓国で、MERS(マーズ)がパンデミックに発展しつつある。今年5月中旬にソウルで初の感染者が確認されてから20日余りで、MERSは急速に広がっている。6月15日現在、韓国の保健福祉部は、MERSの感染が確認されたのは145人(うち死者15人)と報告している。この深刻な事態にパク・クネ大統領は、予定していた米国訪問の延期を決めた。
MERSは新型呼吸器感染症の1つ
MERSは正式な病名を中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)といい、2012年に初めて確認されたウイルス性の呼吸器感染症だ。「MERSコロナウイルス」に感染することで発症する。2003年に世界的に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS:サーズ)もコロナウイルスが原因だが、両者は異なる疾患である。
2012年、サウジアラビアを中心とする中東地域に大流行したことがMERSの名の由来となった。このときは感染者635名(うち193名死亡)と報告されている。死亡率30%を超える重篤な感染症であるため、厚生労働省は今年1月にMERSを2類感染症に指定した。このためすべての患者の発生について保健所に届出を行うことが、全医師に義務づけられている。
今回の韓国での流行においても、最初の感染者は中東(バーレーン)に滞在し、帰国後に発症したと報じられている。中国や香港など周辺国への広がりも見せ始めた。海を隔てているとはいえ、隣国である日本への感染拡大に対して厚労省は警戒を高めている。