MERSの死亡率が高い理由には、原因ウイルスに専門的な治療がないことが挙げられる。本ウイルスが確認されてからわずか3年程度であり、医薬品やワクチンの開発にはまだまだ時間を要する状況である。加えて、患者数が少ないMERSは、製薬会社にとって収益が見込めないビジネスインパクトの低い疾患でもある。
しかし、MERSといいSARSといい、今世紀になってから出現した2種の新型コロナウイルスはその脅威を不気味に増している。本格的なコロナウイルスの研究や治療薬の開発が必要であり、国家を超えた研究やグローバル製薬企業の積極的な対応がコロナウイルスのパンデミック防止のためには必要であろう。
流行地域に行かないことが予防の第一
MERSに限ったことではないが、感染地域への渡航は極力避けるべきである。MERSは呼吸器感染症のため、咳による飛沫感染に気をつけねばならない。万一、流行地域に行くときには、マスクを着用し、人込みを避けるなどの注意が必要だ。ホテルなどでも、患者が宿泊している場合には空調を介してウイルスが飛散する恐れがあるので、マスクは可能な限り着用している方が良い。
当然のことながら、手指を清潔に保つための手洗いや消毒、外出から戻った際のうがいの奨励など、日常的な衛生活動は日本にいる場合も怠ってはならない。
新興感染症は人畜共通感染症
MERSの起源はヤマコウモリではないかといわれている。近年世界的な流行が問題になっているSARS、エボラ出血熱、鳥型インフルエンザなど新興感染症のほとんどが人畜共通感染症である。
これらの疾患はもともと動物の病気であり、人とは隔絶されていた。今日の新興感染症の原因は、人が動物の生活領域にまで進出したことにあるのではないかという説が有力である。それまで接触しなかった動物に接触する機会が増えたことで、人への感染が広がったとするものだ。
今世紀も、人類の開拓意欲は留まることを知らない。開拓が自然に与える悪影響は枚挙に暇がないが、開拓によって開かれた扉の奥に、全人類の生命を脅かすパンデミックの原因が眠っている。そんな可能性があることを忘れてはならない。(ZUU online 編集部)
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