ユーロ取引戦略:様子見、霧が晴れるのを待つ

このように、ユーロを巡っては目下、買い要因と売り要因が交錯しており、どの要因が支配的となるか見極めがつかない状況だ。いずれの通貨ペアでも、対価となるポンド、ドル、円サイドの要因でまず方向性が出る可能性の方が高い。

来年にかけて、最も方向性が明確で妙味がありそうなのは米国に次いで年内利上げ開始の可能性があるポンド高と絡めたユーロ/ポンドの下落(ユーロ安ポンド高)だ(図表2)。

毎月公表の英中銀(BoE)金融政策委員会議事要旨でのタカ派化や労働市場や経済活動指標の改善度合いが注目となる。

他方、米国の年内利上げ開始とその後のゆっくりとした利上げ継続がほぼ織り込まれつつあるユーロ/ドルや、政府・日銀の金融・為替政策がはっきりしないユーロ/円相場は、今後数か月間は方向感が出ないとみられることから、様子見が得策だろう。

ユーロの方向性が明確化するには、ユーロ圏の景気減速やECB追加緩和姿勢の明確化が必要となりそうだ。そのバロメーターとしては、やはりドイツ10年債利回りが鍵を握りそうだ(図表1)。

独米10年金利差とユーロドル

ユーロドルとIMMユーロネットポジション

山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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