2.繰延税金資産は、将来にわたって収益を出せる見込みがあって初めて有効

理論的には「会計と税務の差を埋める」という理由だけで計上可能な繰延税金資産である。ただし、実務上はそれほど簡単ではない。この繰延税金資産、実際計上する場合には「企業にこの先も収益力があること」が前提となるのである。なぜだろうか。それは、繰延税金資産は将来払われるであろう税金に対して効果を持つからだ。

繰延税金資産は、企業会計と税務会計の一時差異によって生じる項目である。その差異は一時的なものであるから、遠からぬ将来、それが解消されることを意味する。その差異が解消されるとき、法人税が発生すれば、繰延税金資産が取り崩され、税金を安くする効果をもたらす。税金が生じるということは、利益が発生することが前提だ。もし、この差異が解消されるときに赤字だったらどうだろうか?繰延税金資産を取り崩す意味がない。仮に取り崩したところで、赤字を拡大し、自己資本比率を下げるだけなので、メリットはないのだ。

また、繰延税金資産は、土地や建物、特許権などとは違い、外部評価が伴わない。あくまでその企業が将来にわたって収益を計上できるという点でのみ資産性を有する。裏返せば、その企業が将来赤字を出す、あるいは破綻してしまう可能性があるならば意味がないのだ。そういう点からいうと、繰延税金資産は、これまで客観的にその妥当性を検証できない資産であったと言えるのだ。

アベノミクスの影響により、一部の企業は好況を取り戻したものの、全体としてはまだまだ低迷している。また、その好況でさえも継続する見込みがあるとは言えない。こうした中、各企業は、監査の目を意識しながら繰延税金資産を計上しているのが現状なのだ。