冨田 :企業のオーナーと直接向き合っているクレディ・スイスさんだからこそ、そういった話も出てくるのでしょうね。
大橋:担当者もお客様とのお付き合いとなると長いですから。各担当者の大半は中途採用で、お客様とは前職からの間柄というケースも多いのです。なかには十年単位でご家族ぐるみのお付き合いやそれこそ世代を跨いでアドバイスをさせて頂くことも珍しくありません。そうなると変な話ですが、メインバンクや幹事証券さんにはできない相談をお話し頂く機会もでてくるのです。
冨田 :なるほど。メインバンクには何もかも赤裸々に語ることはしにくいですからね。下手な話をして、リスクがあると思われて借り入れ金利が高くなってしまう懸念もありそうですし(笑い)。
大橋
:その点、心の裡に抱えた悩みを吐露して頂きやすいのでしょう。お客様の事業が大変なときや深夜にお電話を頂けると嬉しいものです。信頼されている証ですから。
事業承継に対するソリューション
冨田 :少し話を変えさせて下さい。日本でプライベート・バンキングを展開する上で事業承継というキーワードは外せないと思います。クレディ・スイスさんならではと言えるソリューションを教えてください。
大橋 :まず先に言っておきたいのは、プラベート・バンキングというとお客様のためには法の目を潜るように色々な機能を使って税金を減らしましょうという提案をしていると思われることがいまだにあるようですが、これは大きな誤解です。
もちろん法律で認められた対策は行えばよいと思います。しかしもっと大切なのは、大切な自社株を売らなければならない状況に次の世代の方を追い込まないために、「今」の段階で払えるだけの金融資産をどうやって作っていくか、ここのアドバイスをさせて頂くことだと思っています。
悲しいのは、長いこと自社の事業価値を上げるために頑張ってきたのに、承継対策の段階では税金を減らすために自社株の評価を下げることに腐心する方がいることです。これは健全とは言えません。そうではなくて事業価値が上がりながらも、きちんと納税できる準備を行いましょうという正しいアプローチを取るべきです。
そのために私どもは全力でサポートします。同時にオーナーの方にも木を見て森を見ずにならないようにきちんとした時間軸を持って事業承継の在り方を考えて頂ければと思います。