冨田 :そうした考え方に沿うものだと思うのですが、リーマン・ショックや東日本大震災以降、資産を分散しようという大きな流れができています。お客様と接していてこの考え方は浸透していると実感できますか。

大橋 :そうですね、まだ十分とは言えませんが。これは本当に大切なことです。今もってなお多くの方の資産が円に偏り過ぎています。

冨田 :経営者ですから自社株も含めると保有資産の大半が円建てでしょうし、こればかりは難しい。

大橋 :決して円のリスクを煽っている訳ではないのですが、さすがに円に80%、100%資産が偏るというのは、これからの国際情勢、デフレからインフレに移行しつつある日本の状況を考慮した際きちんと資産を守り切れるのですかという疑問はあります。

冨田 :現実に円安になって円だけを持っていることのリスクが発生しているのですからね。そういった資産分散という点ではどういった商品があるのでしょうか。クレディ・スイスさんのオルタナティブインデックスを活用した商品は非常に評価が高いですが。

大橋 :オルタナティブ投資の分野では、お客様の個別の運用ニーズに応えるべく独自の様々なインデックス、特にリスクが起きた時にヘッジとしてうまく機能するようなインデックスや、伝統的な資産とは別の動きをする保険戦略のファンドなどを組み合わせた運用手法が、他ではなかなか聞かない、多様でユニークだと評価を頂いています。

改めてプライベート・バンキングとは?

冨田 :最後にクレディ・スイスさんにとって、プライベート・バンキングとは何なのかと訊かれたらどうお答えになりますか。

大橋 :非常に深いテーマです。プライベート・バンクとは何なのか。これは常に自問自答していることでもあります。一つ言えることは、クレディ・スイスにとってはそれがDNAそのものだということです。お客様が何を望まれるのか、きちんとニーズや心情を理解した上で資産を守り育てていくという考え方が大切だと思っています。

加えて、一人ひとりのお客様のライフ・サイクルの様々な局面に対して、例えば事業の成長に情熱を注ぐ際には事業に集中できるサポートを、ご子弟の幸せを願う際にはそのための教育プログラムをという風に、クレディ・スイスの多彩なリソースを活用しながら最適解を提供し続けていくこと。それがプライベート・バンクであり私どもの使命と考えています。

冨田 :有難うございました。(終)

大橋雅英(おおはし・まさひで)…クレディ・スイス銀行東京支店、クレディ・スイス証券株式会社マネージング・ディレクター兼プライベート・バンキング共同本部長。1960年愛知県生まれ。神戸大学卒業後日系・外資系金融機関でリテール・法人営業および20年以上のプライベート・バンキング業務経験を経て、現在に至る。

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