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口座を開けるのは金融資産10億円以上を有する資産家から。いわゆる普通の商業銀行とは全く異なる金融機関であるプライベート・バンク。この知られざる世界を紹介するために、PB業界のグローバル・リーダー、クレディ・スイスで事業を統括するプライベート・バンキング共同本部長大橋雅英氏にお話をお聞きした。

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インタビュアーは本誌にも寄稿頂いている日本最大の金融メディアZUU onlineを運営する株式会社ZUUの冨田和成氏。(文:加藤俊、この記事は Biglife21 に掲載される予定です)

プライベート・バンクはアントレプレナーズ・バンクである

冨田 :考え方の部分に関してお聞きしたいのですが、お客様の中には自分の金融資産をきちんと把握できていない方もいると思います。特に経営者の資産は自社株が絡んでいることがありますから。こうした前提を考えると、お客様の資産を管理して“見える化”するのはとても時間のかかる作業だと思えるのですが。

大橋 :おっしゃるとおり。ただ、そこに対する時間や労力は惜しみません。というよりも、そこを徹底せずにお客様の大切な財産を守ることはできませんから。実際にお客様の大半は事業オーナーの方になります。私どもでも自分たちは「アントレプレナーズ・バンク」だと公言しています。事業オーナーとそのファミリーの方々のための銀行だと。

ただ、一口にオーナーといっても、事業のフェーズによってどんなソリューションを求められるかは異なります。正に今事業が拡大している方もいれば、成熟期の企業のオーナーの方もいます。あるいは事業承継を考えているオーナーの方もいます。ただ皆様に共通して言えることは、頭の中の8割9割が事業のことで占められているということです。

また、オーナーの方たちは法人個人が一心同体、個人の資産が会社と密接に関わっています。つまりプライベート・バンキングを展開するにあたっては、同時に事業上の課題に対するソリューションも求められるということなのです。

実際にインベストメント・バンキングとコラボする機会は多く、自社株式の流動化、資金調達やM&Aのアドバイザリー業務での支援も行っています。また、数百億円規模のサイズやクロスボーダーのM&A案件を主に扱う投資銀行部門に加え、10億円程度のサイズからのM&Aや、事業承継のコンサルティングを行う専門部署をプライベート・バンキング部門内に設けています。

家族ぐるみでお付き合いすることも

冨田 :それは経営者には助かりますね。よく金融機関で見受けられるのが、ある一定のサイズ以下のM&Aの案件は受けないで仲介業者を紹介されるというパターンです。事業拡大を考えていくときに、M&Aは避けては通れないポイントです。

よく上場企業の経営者たちと話すのですが、上場して資金調達を行っても結局それを全部投資してしまったら赤字になってしまうと。やはり企業はM&Aで戦略的に成長していくことが重要になるのだが、かといって数百億円の企業をおいそれと買うのは難しい。

これが数十億円サイズの企業であれば買っていきたいのに、という声が多いのです。しかし、こうしたサイズの企業をきちんと紹介してくれる金融機関はあまりありません。

大橋 :お客様の多くはオーナーの方ですから、買いたいという方がいれば一方で売りたいという方もいらっしゃる。また、海外で大きく事業を展開されているビジネスオーナーや経営者を紹介し、最良の事業投資機会を提供することもしています。プライベート・バンキングを通じて、お客様同士をマッチングできることは高くご評価頂いています。