企業から見た女性登用の課題:候補となる女性がいない

企業の経営者ならびに人事・総務・管理部門に属する2857人(延べ2743社)に対する「女性管理職を増やす上での問題として当てはまるものを選ぶ」という質問への回答が図表1である。

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6割近くの回答者が選んだ突出した1位の理由は「候補となる従業員の不在」である。つまり、登用したくてもそもそも対象者が存在しない、というものである。

この結果は一つには、コース別人事において、企業が管理職候補である「総合職」に女性をあまり採用してこなかった歴史があるため、当然の結果といえる。

厚生労働省が問題視して毎年公表している「コース別雇用管理制度の実施・指導状況」によれば、平成26年度の調査で総合職採用者の女性比率がようやく2割を超えたばかりである(図表2)。

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このような状況であるので、いざ女性を管理職に登用しようとしても企業に人材不足が生じてしまう。企業は今後、迅速に総合職への女性採用を増加させる必要がある。ここで、そもそも女性の総合職への応募が少ないので採用が少ないのではないか、という疑問が起こるのは当然である。

しかし、厚生労働省の発表によれば、最新情報の平成26年度採用において、総合職の男女別採用倍率を見ると、男性30倍に対し、女性は43倍となっている。同省の前回調査(平成23年度)では、男性17倍に対しなんと女性は63倍であった。

国の指導により是正が急速に進んでいるとはいえ、今後も男女の総合職の採用格差を縮小するための努力が望まれる。