百貨店
(写真=Thinkstock/Getty Images)

大手百貨店の7月売上速報によれば、大手各社はいずれも前年実績を上回った。
三越伊勢丹は単体で前年同月比5.1%増。J.フロントリテイリングの大丸・松坂屋は6.8%増。高島屋は単体13店舗ベースで7.1%増、そごう・西武も4.9%増で、いずれも同じく4カ月連続の増収だ。関西では、H2Oリテイリングの阪急阪神百貨店が夏物衣料とインバウンド客の好調継続で5.2%増。そのほか、松屋(銀座店、浅草店)も外国人旅行者などの免税売り上げが好調で29.1%増と急伸している。

大都市ではセール期間を昨年より1カ月遅らせ7月スタートにする試みも行われ、定価での衣料品や雑貨が売り上げを伸ばした。高級時計やブランド品が順調で、インバウンド客向けの売り上げも、今のところ中国の株価暴落の影響を受けていない。


百貨店の販売は1991年ピークに下落傾向

百貨店業界の販売額は1991年に12.2兆円を記録(経済産業省「商業動態統計調査」)、その後は下落傾向にある。

主力である衣料品売り上げは長期低迷。一時は6兆円あったものが20年間で半減した。消費者は衣料品を百貨店やスーパーではなく、専門店やショッピングセンターで買うようになったのだから当然だ。しかし、百貨店の総売上に占める衣料品の構成比は50%前後で、ほとんど変化がない。

衣料品の消費支出額が多いのは30~50歳代だが、この世代の百貨店支持率は下がっている。逆に百貨店支持率の高い団塊世代以上は、衣料品にかける金額が下がっている。

消費の実需と支持率がねじれている百貨店にあって、たとえ現在が落ち着いた状況にあるように見えても、それは一時的なもの。時代に応じた抜本的な変化を成し遂げなければいけないステージにある。そのためには、主なターゲットである団塊世代以下の各世代について、それぞれマーケティング戦略を考えなければいけない。


「文化創造者」たる団塊世代の矜持を満足させよ

1220万人と最も人口が多い「団塊の世代」。高度成長期以来、バブル時代を経て政治・経済はもちろん、文化やファッションを創造し、百貨店の成長を牽引し続けてきた。大きな金融資産を持つ富裕なこの世代をターゲットとするのは当然だが、この世代に対しては、新しい文化創造者であり続けたセグメントとしての矜持を満足させうる需要、新事業の開発が必要だ。


コスパ重視の『Hanako』世代と消費意欲高い「団塊ジュニア」

次に1959年~1964年生まれ、雑誌『Hanako(ハナコ)』の愛読者世代。950万人いるこの世代はバブルの申し子たち。消費好き、ファッション感度のいい、情報発信力がある。対策としては、百貨店での「コト」体験からファッション購入に結びつくような仕掛けが考えられる。ただしこの世代はコストパフォーマンス重視型のため、価格面での工夫が欠かせない。

そして、消費意欲の最も高い「団塊ジュニア」。1971~1976年生まれの1160万人だ。この世代以下は大型ショッピングモールの利用頻度が高くなっているだけに、百貨店以外に流出している衣料品購入を取り戻すため、価格以外に専門店、大型ショッピングモールと競合できる新たな付加価値を持った戦略的なシステムや商品開発が必要となるだろう。

百貨店に突きつけられているのは、従来、拡大・成長を支えてきた商品開発や販売の方法を見直すという、難題だ。たとえ今売り上げが好調といっても、中国人の「爆買い」がいつまで続くか分からないし、特に「団塊ジュニア」とそれ以下の世代については、「百貨店」の持つイメージがそれ以上の世代とは大きく異なっている。効率化を追求した大型ショッピングモールに対抗するのは容易ではない。前年実績を上回るほどの売り上げが確保できている今こそ、次の成長に向けた戦略を練り直す時期なのかもしれない。(ZUU online 編集部)

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