クレストブリッジ
(写真=HPより)

英国の高級ブランド「バーバリー(BURBERRY)」とアパレル大手の三陽商会 <8011> が結んでいた国内での販売契約が今年6月、45年の幕を閉じた。今後、バーバリーは独自で商品を展開、三陽商会が運営してきた、主に百貨店内の約360店は、そのうち100店が閉鎖、約260店は別ブランドの店に切り替わっている。

三陽商会は新たに英国のブランド「マッキントッシュ」とライセンス契約しており、今後「マッキントッシュロンドン」の店舗を展開する。


デザイナー三原康裕氏との新ブランド、出だしは好調

7月末に三陽商会が発表した2015年12月期の業績予想は、売上高が前期比9.9%減の1000億円、営業利益が36.4%減の65億円と、バーバリーの駆け込み需要による業績好調で当初の予定より上方修正となったが、下期はバーバリーがなくなるため、通期で見ると減収減益となる。

バーバリーに代わる後継ブランドとして、同社が最初に発表したのは新たなブランド「ブラックレーベル・クレストブリッジ(BLACK LABEL CRESTBRIDGE)」「ブルーレーベル・クレストブリッジ(BLUE LABEL CRESTBRIDGE)」だ。クリエイティブディレクターにファッションデザイナーの三原康裕氏を迎え、2015秋冬シーズンよりスタートしている。

ブランドの出だしについては、三原氏が得意とするシューズの売り上げが良く、「ほぼ想定値通りのスタート(杉浦昌彦社長)」だという。

今回の新たな契約では、以前は契約で不可能だったEC販売や広告キャンペーンも行うことができることから、同社では両新ブランドに大きな期待を寄せている。


アパレル企業とデザイナーの協業の時代

このように、大手アパレル・小売り企業が、著名デザイナーと協業するの三陽商会だけではない。

ファーストリテイリング <9983> が展開する「ユニクロ」はデザイナーのクリストフ・ルメール (Christophe Lemaire)氏と協業し、仏ブランド「ルメール(LEMAIRE)」とのコラボレーションコレクション「ユニクロ アンド ルメール(UNIQLO AND LEMAIRE)」を、2015年10月2日(金)より展開する。

ルメール氏は自身のブランド以外にも、「ラコステ (LACOSTE)」のアーティスティックディレクターや、「エルメス(HERMES)」のウィメンズアーティステックディレクターを歴任している。

また三陽商会はまた、自社準基幹ブランド「トゥー ビー シック(TO BE CHIC)」のディレクターに、「ドレスキャンプ(DRESSCAMP)」デザイナーの岩谷俊和氏を迎えた。2015年秋冬シーズンからディレクションを手がける。この協業では、訪日外国人によるインバウンド需要も視野に入れているという。

あるアパレル関係者は 「ドレスキャンプ」はザイナー自身の知名度も高く、売り上げ約4割が中国で占められている。中華圏の訪日客に根強い人気のある三陽商会と、「ドレスキャンプ」の強みを合わせれば、インバウンド需要にも十分対応できるだろう」と話している。

ブラックレーベル・クレストブリッジとブルーレーベル・クレストブリッジの2015-16秋冬コレクションショーを見たアパレル関係者は、「モノ作りに長けたアパレルブランドは、ときに洋服一着一着のクオリティーにこだわるあまり、世界観の構築が疎かになったり、“確実に売れるモノ”を作るため、競争他社との商品に差が無くなったりする」と指摘したうえで、「三原氏は三陽商会のアイデンティティーもしっかり踏襲しつつ、2つのブランドをアイテムだけではなく、世界観でも語れるブランドに仕立て上げていた」と評価する。

一般の消費者にしてみれば、デザイナーズブランドの商品は高すぎるため、そうそう買えない。その一方で、低価格重視で大量生産されるアパレルブランドの商品の多くは、デザイン性に欠けるため、選びたくない……。

その意味では、大手アパレル企業が著名デザイナーと協業し、比較的手に届きやすい価格帯で、デザイン性の高い商品を出すことは、消費者の興味を喚起するための大きな一手になるかもしれない。

三陽商会がバーバリーなしでどれだけ業績を回復できるか。バーバリーという大黒柱を失った今、大手老舗アパレルとしての力が試される。(ZUU online 編集部)

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