だがひょっとすると、iPad Proについて最も注目すべきは、同社が米マイクロソフト <NASDAQ:MSFT> のタブレット端末「Surface(サーフェス)」の戦略をお手本にして、「Apple Pencil」や「Smart Keyboard」と名付けられたスタイラスペンやキーボード付きカバーを導入したことかもしれない。iPad Proは生産性や創造性を高めるための道具として明確に位置づけられていることを考えると、この導入はほぼ間違いなく必要だったことで、こうしたアクセサリのおかげでiPad Proの市場への訴求力が高まるだろう。発表会では、マイクロソフトと米アドビシステムズ  <NASDAQ:ADBE> のiOS向け最新アプリもデモストレーションされていた。Apple Pencilは99ドル、Smart Keyboardはなんと169ドルで、マイクロソフトの「Surface Pen」(50ドル)や「Type Cover」(130ドル)の価格をそれぞれ上回る。

iPad Proの米国での販売価格は799ドルからで、これはちょうど「Surface Pro 3」の小売価格に匹敵する。だがこのiPad Proの最安モデルは、容量が32GBしかない。これに150ドルを追加して払えば、容量が4倍の128GB版(Wi-Fiモデル)が手に入る。これにさらに130ドルを支払えば、携帯電話ネットワークにも対応したロングセラー、Wi-Fi+Cellularモデルを購入できる。つまり、128GB版でWi-Fi+CellularモデルのiPad Proは、お値段1079ドルだ。同製品は11月に発売予定。

iPadシリーズの中で他に変化があったのは「iPad mini」だけで、新モデルである「iPad Mini 4」が発表された。同iPadにはiPad Air 2と同じ内部スペックが採用された。また、「iPad Mini 2」の最安モデルはやや値下げされ269ドルとなった。「iPad Air」に関しては、スペックや価格の変化はまったくなかった。これは、iPadの新モデルに対する同社の自信の表れともとれるが、一方で同製品群に開発リソースを多く割く価値がないと同社が考えていることが証明されてしまった可能性もある。iPadシリーズは概して販売台数が伸び悩んでいるからだ。

同社が、iPadシリーズにはiPhoneと異なる発売サイクルを導入しようとしている可能性もある。iPhoneシリーズに関しては、同製品群のすべての新モデルを毎年同時に発表するのに対し、iPadに関しては、同製品群の中から毎年交互に新モデルを発表するということだ。