おにぎらず
(写真=PIXTA)

「おにぎらず」が人気になって久しい。「おにぎらず」とは、ごはんの間に具をはさみ、切り口はサンドイッチのように見える食べ物で、昨年からネットで話題となっている。Googleで「おにぎらず」を検索すると85万件ヒット。料理メニュー投稿サイトの「クックパッド」では人気レシピ検索順位ナンバーワン。「おにぎらず」は大ブレイク中だ。


「クッキングパパ」で数十年前に既出

「おにぎらず」は二十数年前、講談社の連載マンガ「クッキングパパ」で紹介され、知る人ぞ知るレベルのメニューだった(読売新聞の2015年1月29日付記事による)。2014年4月の時点で「クックパッド」は読者のメニュー投稿を受けて同じメニューを「四角いおにぎり」の名前で紹介。14年9月、若いころ子供の弁当に毎日「おにぎらずを作っていた」という別の主婦が名前を投稿し、人気になっていった。

「おにぎらず」メニューそのものの自由さや便利さがこの時代に合ってウケたのはもちろんだが、このネーミングを含んで、この大流行の背景には、あるマーケティング理論どおりの別の理由があるのである。


AIDMAからAISASへ

ネットビジネスが現在のように巨大になる前のほんの十数年前まで、従来マーケティングでは、消費者が商品を購入するプロセスを「AIDMA」と規定していた。それはAttention(注目)、Interest〈関心)、Desire〈欲求)、Memory〈記憶)、Action(購入)プロセスである。それぞれの項目を数値化して管理し、最初のAをどう高くするかから、最後のSまでをいかに高い数値に上げられるか、諸々の施策を工夫展開していた。

そしてネットの時代の今日は、それはAISASと規定されている。それはAttention(注目)、Interest〈関心)、Serch(検索)、Action(購入)、Share(情報共有・口コミ)である。

「おにぎらず」のブレークは何といってもそのネーミングの絶妙さにあるが、二十数年前のまだネットが普及していない時代には、それはその場で「不思議な名前ね」の疑問のままで終わっていたのが、今日はAISASによって急拡大するのである。

はじめに何か気になること(注目し関心をもつこと)があると、ただちに一気に多くの人が「検索」で情報の確認に走る。それが検索ランキングを一気に上昇させ、そのこと自体がさらに相乗的に注目と関心度を高める。そして作り方を見て、実際に作るというアクションまで走らせるのである。

そこで終わらないのも現代の特徴だ。TwitterやLINEやFaceBookなどのSNSで友人知人や見知らぬ人々に情報を拡散させ、共感を得ようとするため、ブームは加速度的に大きさを増すのである。

「おにぎらず」の流行はまさにネット時代のマーケティングプロセス「AISAS」(注目、関心、検索、購入、情報共有)、とりわけ「検索」と「情報共有」の威力を体現する典型例となったといえる。(ZUU online 編集部)

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