大切なのは「愛と勇気」
それぞれに異なる特徴を持つ個人投資家の3人。株で失敗した経験も三者三様である。
杉村: 株って言うのは不思議ですね。買うと下がるし、売ると上がるんですよ。大事なことはですね。そこであたふたしないっていうことですね。あたふたしないために大切なのが、「ワクワクする範囲の投資」。
「ワクワク投資」の例として、杉村氏はかつて自動車会社の株式でマイナス1200万円となったエピソードを紹介した。
杉村: これはシビれた!しかし、「必ずこの会社は持ち直す」と思えるのなら、それは“ワクワク”です。その会社に対する愛がありました。これものすごく重要です。投資で勝つためには愛と勇気と若干の知識。この3つ(が重要)です。愛っていうのは、たとえばこの会社はどういう商品を売って世の中で利益をあげているのかということを知ること。自分でちゃんとこの会社に対する社長誰なのか、どういう商品なのか(を知り)、この会社にもっと成長してほしいなという愛があることが大切。愛があれば、多少下がっても待っていられるんです。買ってどんどんあがるのも楽しいですし、下がったところから上がっていくのも感激です。
「ストーリー」を共有したい
この考えに大いに共感を示したのが片山氏だ。
片山: 投資には「愛と勇気が必要」というのにすごく同感です。いま、10%~8%の含み損になったら自動的にロスカットしなさいということが推奨されていたりするんですけど、僕はそれには否定的です。その会社の良し悪しにかかわらずマーケットの変動によってそれぐらいの下落は絶対あるんですよね。そんなことでポジションを変えていたらいい会社を持ち続けるなんてことは絶対不可能ですよ。
そこで、片山氏が大切にしているのは「ストーリー」だという。
片山: 例えばその会社の人が変わってこれからよくなっていくとか、ずっと一生懸命研究開発してきた商品がようやく世に出てこれから伸びそうだとかですね。そういうところで会社が変わっていくというストーリーを何が何でも株主として一緒に共有したいという思いがあるんです。
片山氏は「ストーリー」の例としてカルビーを挙げた。カルビーはジョンソン・エンド・ジョンソン出身の松本晃氏が社長に就任してから株価が14倍にもなった。松本氏は、社長を引き受けるときに「取締役から、創業家は退く」ということを条件にしたという。それを受け入れたことで、カルビーは意思決定の早い企業になり、グローバルな成長ができる会社になったという。
片山: そういうストーリーに乗っかるときっていうのはもう10%とか20%の変動って言うのははっきりいってもうどうでもいいんです。そのときにどうやって逃げるかといったら、まさに愛と勇気っていうのが必要だということで、(杉村氏の話に)すごく共感しました。