「Space X」など宇宙ベンチャー・米企業が攻勢

しかし、商用衛星の打ち上げなど宇宙産業の競争は熾烈だ。スペースシャトルが退役した米国では、有人飛行をロシアのソユーズ宇宙船に依存する一方、物資供給を民間会社に依存する体制をとなっている。米国の「宇宙大国」のイメージにも若干の翳りがあるものの、依然として日系のロケット打ち上げ事業者からしても決して無視できない存在だ。

その米国で今、注目を集めているのは、スペース・エクスプロージョン・テクノロジーズ(Space X)だ。同社は、ペイパルを創業した起業家としても知られる米国のベンチャー投資家イーロン・マスク氏によって2002年に創設された民間の宇宙企業だ。2006年、ロケットビジネスへの新規参入を同社は果たしている。

同社が開発製造している「ファルコン9」はNASAの国際宇宙ステーション(ISS)の物資補給にも使用されている上に、低価格を武器に民間通信衛星の打ち上げ市場でシェアを急速に拡大している。競合するロシア勢の打ち上げ失敗が相次ぎいだこともあり、「Space X」が受注を獲得する機会をモノにしてきた経緯もある。

米国フロリダ州のケープ・カナベラル空軍基地から、ISSへの「ドラゴン」補給船7号機を搭載した「ファルコン9」ロケットの打ち上げが失敗に終わっており、「順風満帆」というわけではない。

とはいえ、「Space X」も順風満帆というわけではない。例えば、今年6月28日、米国フロリダ州のケープ・カナヴェラル空軍基地から、ISSへの「ドラゴン」補給船7号機を搭載した「ファルコン9」ロケットの打ち上げが失敗に終わっており、同社の強みであるコスト競争力と安全性、信頼性のバランスをどう維持するかは、今後の大きな課題である。