◆消費税の引き上げは、資金力の乏しい低年齢層の住宅の質を下げた

消費税引き上げの質への影響が、実際にどの程度のものか平均延べ床面積の推移で見てみたい。全体では、税率引き上げ前の2013年の131.3㎡から、引き上げが行われた2014年は129.2㎡に低下している。ただしその水準は税率引き上げが決定した2012年と同程度である。

世帯人員一人当たり床面積でみても、2013年の37.5㎡/人から、2014年が37.2㎡/人と低下しているが、2012年の36.6㎡に比べるとさほどの落ち込みではない。(図表1-3-7)

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これを、年代別に見ると、やや異なる傾向がある。延べ床面積は、おおむね50代までは年齢が上がるほど広くなることに気づく。これは、資金力の違いによるものと考えられる。特に2012年以降の推移をみると、平均延べ床面積が最も小さい20代は、2012年度から直線的に低下しており、30代は20代よりゆるやかではあるが同様に低下している。

これに対し、40代は2012年度の133.2㎡から2013年度は134.1㎡とやや上昇し、2014年は反転して、2012年を下回る131.5㎡となっている。一方50代は、2012年の138.3㎡から、2013年が142.4㎡、2014年が144.3㎡と直線的に上昇している。(図表1-3-8)

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このように、2013年に全体の平均延べ床面積が上昇したのは、主に高年齢層が平均延べ床面積を拡大させたことによる。2014年が2012年ほど落ち込んでいないのも、50代、70代以上が拡大させたことに起因する。資金力のある高年齢層は、建築費の高騰、消費税増税という状況下においても延べ床面積を縮小させることなく、そうではない低年齢層は延べ床面積を縮小させることによって、資金的負担を調整していたと読み取れる。

ちなみに60代以上の平均延べ床面積は、50代より低い値で推移しているが、一人あたり床面積で見ると、最も高くなっている。2014年で見ると、最も低いのは40代の34.5㎡/人である。次いで30代が35.6㎡、20代が38.4㎡となっている。30代、40代は、20代や70代以上より資金力があるものの、世帯人員が多いことから一人あたり床面積が小さくなると考えられる。

建築費の高騰や消費税増税は、質の面でも、住宅取得の主流層である30、40代に最も影響を与えているのである。(図表1-3-9)

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