金融市場:2016年はどんな年?
師走に入り、今年も残すところ1カ月を切った。12月FOMCでの利上げ有無というビッグイベントを残した段階で少々早いものの、今年の金融市場を振り返り、来年の市場のテーマと動向を展望したい。
◆2015年の振り返り・・・二つの誤算
まず、2015年のこれまでの市場の動きを確認すると、ドル円相場は年初の120円台半ばから足元にかけて2円程度円安になっている。一昨年に19円、昨年に15円も円安が進行したことに比べると、ごく小幅に留まった。
一方で、日本株(日経平均株価)は年初から2000円あまり上昇しており、主要国で見てもドイツに並ぶ高い上昇率となっている。これは、昨年10月末からの急激な円安進行によって、期間平均の前年比では大幅な円安になったこと(2014年平均105.9円→2015年足元までの平均121.0円)に加え、公的マネーによる株式積み増しや、企業統治の強化などが株価を押し上げたためだ。
年末までまだ日にちは残っているが、今年も最終的に(小幅な)円安・株高の一年ということで着地しそうだ。
なお、今年の市場のテーマという面では、二つの誤算があった。
一つは「米利上げの後ずれ」だ。今年年初の時点では、6月または9月の利上げ開始を予想する向きが大勢であった。年初時点の債券先物市場が織り込む利上げ確率を見ると、6月FOMCまでに利上げが開始されていると予想する割合は53%、9月FOMCまででは84%に達していた。しかし、実際は未だに開始されておらず、12月に利上げ開始がされるとしても、予想よりもかなり後ずれしたことになる。
寒波や港湾ストの影響で1-3月の米経済成長率が当初マイナス(後に小幅プラスに改定)になったこと、夏場からは中国経済への不安台頭で金融市場が緊迫化したことが、利上げ後ずれの背景にある。利上げが早期に行われていれば、さらに円安ドル高が進み、株価上昇に寄与していた可能性がある。
二つ目の誤算は、上記とも絡むが「中国経済への不安台頭」だ。8月以降に一気に不安が高まり、日本も含め世界の金融市場を揺さ振った。もともと中国経済の減速自体は予想されていたことだったが、ペースがやや速かったこと、唐突な人民元切り下げなど政策の不透明感が強まったこと、中国株式市場でバブル的な状況が急激に形成されて崩壊したことなどが市場の不安を増幅させた。
中国当局による金融緩和の効果もあって現在は不安が沈静化しているが、未だ払拭されたわけではなく、日本も含めた主要国の株価はまだ中国不安台頭前の水準には回復していない。