今年の日経平均株価は4月にITバブル以来約15年ぶりに2万円台を回復。6月には終値での今年の最高値(2万868円)をつけた。アベノミクスによる株高効果で「株で儲かった」という人が身近にもいるかもしれない。

また11月には「NTT以来」などと騒がれた郵政上場というイベントもあり、株取引の経験がない人の中でも、株式投資に興味を持つ人が増えてきている。

そこで今回、株取引初心者のための「株式投資の始め方」を紹介する。口座開設などの流れなど、ごくごく基本的な手続きを理解しよう。

■資料請求→口座開設→注文

(1) 証券会社に資料請求

株の売買には証券会社を通すことになるので、最初に行うことは、証券会社に口座を開設するために、資料請求することだ。手続きや取引説明、約款や規程などが載った資料だ。請求後、数日から1週間程度で届く。資料は証券会社のサイト上で閲覧することもできる。届くのを待たなくていいので早く口座開設ができるが、サービス内容などは冊子資料のほうが見やすく比較検討もしやすいので、初めてなら資料請求がいいかもしれない。

(2) 証券会社の比較検討

証券会社は大きく分けるとネット証券と総合証券に分けられる。主流はネット証券で、売買手数料が安いのがメリット。後者は手数料が高めというデメリットがあるが、担当者から情報提供やアドバイスをしてもらえるメリットもある。

手数料は証券会社によって異なるので大きな判断材料になる。もうひとつの比較ポイントがトレードツール(取引ツール)だ。株取引にはリアルタイムな株価情報や株価チャート、企業の財務情報、最新のニュースなどさまざまな情報が必要となる。こうした情報は証券会社からトレードツールという形で提供される。証券会社によって機能や使いやすさが大きく異なる。

(3) 口座開設申し込み

資料請求の数日後に証券会社より、口座案内などの資料が届く。その資料に本人情報や口座情報を記入し、本人確認書類と一緒に郵送する。もちろんこれもオンラインででき、数分で口座開設の手続きが完了する。楽天証券なら楽天アカウントがあれば30秒で完了だ。本人確認書類もアップロードやメールで送付できる証券会社もある。

口座を開設する際には、特定口座も申し込もう。特定口座とは、株式の売買損益の申告・納税の手間を簡単にするもので便利だ。

郵送での口座開設だと開設完了まで約2週間程度かかる。オンラインなら4日〜1週間程度で審査が完了し、開設となる。

(4) 口座開設通知が到着

オンライントレードに必要な「ID」や「仮パスワード」などが入った資料が届く。

(5) 開設した口座に株式取引のための資金を入金する

開設した口座にお金を入れなければ株の売買はできない。入金方法にはATMからの入金や銀行振込、ネット送金などがある。振込手数料などがかかる場合もあるのでよく確認しよう。

(6) 銘柄選び

買いたい銘柄を選ぶ。今後値上がりする銘柄を選ぶのがセオリーだが株取引に慣れるまでは、よく知っている企業や身近な企業から検討するのも一つの手。配当金が多い銘柄を買うのも分かりやすい探し方だ。

また株は売買できる株数(単元株)が銘柄ごとに決まっている。通常の企業の銘柄だと100株が単元株数になっている場合が多い。スターバックスなど1株から購入できる銘柄もある。として有名だ。どちらにしろ、自己資金の範囲内で選ぶことが大前提となる。

実は株取引では「買う」からではなく「売る」から始めることもできる。「買ってもいないのに売れるの?」と思われるかもしれないが、実はそれも可能なのだ。

(7) 注文

入金した資金の範囲内で銘柄を購入できる。窓口取引(電話による注文も含む)とインターネット注文があるが主流はネットだ。注文方法には株価がいくらでもいいから買う「成行注文」と、自分で買う価格を決める「指値注文」がある。

(8) 取引が成立

出した注文が取引成立することを約定(やくじょう)という。ネット証券では株券は発行されないが、オンライン上で確認することができる。

(9) 決済する

買った銘柄を売る、売った銘柄を買い戻すのがこのステップ。初心者は頻繁に売買する

■取引手数料、税金……株購入にかかる費用はどれぐらい?

株を購入する資金だけでは株取引はできない。先にも述べたように証券会社の取引手数料がかかるからだ。取引額が10万円までの手数料なら一番安いのはライブスター証券の86円。高いところだと大和証券は1000円を超える。最近はネット取引が主流なので、売買手数料も以前と比べて大きく下がってきた。以前はかかった口座管理料も今は無料が増えている。

株式投資で得た利益には税金がかかる。株の値上がり益や配当に対して20.315%課税される。ただしサラリーマンの場合、株の売却益が年間20万円以下の場合(ほかの副業も含めて)は課税されないので、少額投資ならそんなに気にしなくていい。

ちなみに特定口座の「源泉徴収あり」で開設すると証券会社が納税手続きを代行してくれるので便利だ。また、通常の証券口座に加えて、NISA(少額投資非課税制度)口座を作っておくと、年間100万円までの取引に対して、儲かった利益はすべて無税となる。証券口座を作った後に、NISA口座の開設も検討するといいかもしれない。

■ネット証券の手数料比較

最後にネット証券の手数料を比較してみよう。10万円までの取引について比較した(税込み)。

マネックス証券 108円
SBI証券 150円
カブドットコム証券 97円
楽天証券 150円
ライブスター証券 86円
GMOクリック証券 95円
松井証券 1日10万円以下なら無料

いずれにせよ口座がないと取引はできない。株に興味があるならまずは口座開設からだ。手数料やキャンペーンなども証券会社選びの際に気になるポイントだろうが、使えるツールや取扱商品などは証券会社によって違いがあるので、気になる点は問い合わせをするといいだろう。その点、手数料はかかってもしっかりと相談をしたいなら対面の証券会社の窓口を訪れてみるのもいいかもしれない。(ZUU online 編集部)