ミニ保険
(写真=PIXTA)

月額1000円以下の保険料でさまざまなアクシデントに備えることができる「ミニ保険」が注目されている。あなたの「もしも」は、今や病気やケガ、死亡だけではないのだ。ミニ保険は一般の保険とは違い、その独自性やユニークさが特徴。ミニ保険にはどんな商品があり、どのように活用ができるのか、その方法を紹介する。


「ミニ保険」とは何か

一般的に、保険金額が少額で保険期間も短い保険を「ミニ保険」と呼んでおり、正式名称は「少額短期保険」だ。2006年の保険業法改正で解禁され、日本少額短期保険協会によると2015年12月8日現在、登録しているのは84事業者と5年前に比べると2割以上増えている。収入保険料も2015年3月期で640億円となっている。

登録事業者には、独立系事業者のほかイオンやセキスイハイムといった大企業による参入も目立つ。最低資本金が1000万円であり一般的な保険の100分の1で済むこと、一般的な保険が免許制なのに対し「ミニ保険」は登録制で設立手続きが安易なことなどから新規事業者が参入しやすいようだ。一般的な保険は、生保と損保のどちらか一方しか取り扱うことができないが、「ミニ保険」では両方を取り扱うことができる。


天気やチケット、痴漢トラブル…独自性の高い商品ずらり

では、具体的に「ミニ保険」にはどんな商品があるのだろうか。調べたところ、以下のような商品が見られた。

・お天気保険…旅先で雨が降ったときの旅行代金を補償
・不使用チケット費用補償保険…急な用事で行けなくなったコンサートの代金を補償
・痴漢冤罪弁護士費用保険…事件発生後一定時間内の弁護士相談料や接見費用を補償
・レスキュー費用保険…登山中の遭難時のヘリやレスキュー隊の人件費を補償
・賃貸物件入居者の孤独死、自殺に備える保険…入居者が孤独死、自殺した場合の損失を補償
・同性カップルが加入できる生命保険…死亡保険金を同性のパートナーが受け取りできる保険
・不妊治療中の生命保険、医療保険…過去1年以内に不妊治療を行っている女性が対象
・ご近所トラブルへ備える保険…近隣住人から騒音などで訴えられた場合の弁護士相談料などを補償
・ペット保険…飼い主死亡後にペットの面倒をみる身内へ保険金を支払う

その他にも障害者のための医療、死亡保険やガン経験者向けの再発に備える保険、葬儀費用に使える少額の死亡保険、糖尿病をもった人のための保険、うつ病など心の病のある人のための保険などがあり、その独自性やユニークさに目を引くものがある。


「ミニ保険」加入時に注意すべき点

では、次にミニ保険に加入する場合の注意すべきポイントを見てみよう。

一般的な保険は、通常、保険商品取扱店で詳しい説明を受けてから申込みをするが、「ミニ保険」は基本的にインターネットで申込む。店頭に行く時間がない人や対面相談が苦手な人には便利だが、保険商品の理解には十分な時間を費すことが必要だ。日本少額短期保険協会の「少額短期ほけん相談室」に2015年度上半期に寄せられた相談・苦情案件の内容を見てみると、保険金支払いの可否に関するものが約40%と最も多い。安価で加入手続きも簡単なため、保険金支払いの条件を十分理解しないまま加入したことが一因だと考えられる。

一般の保険は、「保険契約者保護機構」に加入することが義務付けられている。この機構に加入しておけば、万が一加入している保険会社が破綻した場合でも、救済保険会社により保険の種類により保護される。しかし「ミニ保険」は保護機構の対象外であるため、破綻時の救済機能がない。このようなリスクを避けるため、事業開始時には1000万円の供託を行っているが、破綻時にどれほどの保護を受けられるかはわからない。「ミニ保険」に加入を検討する際には、その保険会社の財政状況にも興味を持つことが必要だろう。


「ミニ保険」の活用術

10年前の保険の常識では、保険給付の対象となる人生のアクシデントは限られていたが、この「ミニ保険」の登場で近年、以前なら想像もつかなかったアクシデントも保険の対象となる商品が次々と誕生している。既往症のある人は保険に入れないというのは昔の話で、少額で短期間の保障ではあるが今現在の不安に保険で備えることが可能な時代になったのだ。すでに加入している一般の保険の保障額を増額するために「ミニ保険」に加入するもよし、極力保険料は安くおさえたいという目的で「ミニ保険」に加入するもいいだろう。

日本少額短期保険協会は「ミニ保険」が誕生して10年目の2015年に、3月2日を「少額短期保険(ミニ保険)の日」と制定した。一般の保険との違いを十分に理解した上で「ミニ保険」をうまく活用したいものだ。


杼木 美絵 ファイナンシャルプランナー(CFP)・行政書士
子どもが1歳の時、ファイナンシャルプランナーを目指して、勉強を始め、CFP(FP協会認定)を取得。その後、行政書士資格も取得し、お金のことから法律まで身近に相談できるFPとして滋賀で開業。 FPCafe 登録FP。

【関連記事】
・世代別、生命保険での相続税対策とその問題点とは?
・投資家必見!IPO当選確率を上げる5つの方法
・スター・ウォーズ「フォースの覚醒」公開で株価が上がる?
・社会人注目!日経新聞・四季報などがネット上で全て閲覧可!その意外な方法とは
・国民年金保険料を滞納し続けるとどうなるのか?