(写真=PIXTA)
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「親の心子知らず」とはよく言ったもので、わかっているつもり案外知らないのが親のことである。親が元気であれば子供は全く困らないし、親が元気なうちは「親の財産は当てにもしていない」と思っている人も多いかもしれない。ところが何も対策をせず、親が突然亡くなってしまったら相続時、相当苦労するだろう。

葬儀費用、隠れ借金で苦労する

例えば、葬儀費用を預貯金で準備してあるのか、保険で準備してあるのか、それとも準備がないのか、がすぐにわからず、「誰が出すのか」と遺族間でもめることがある。お通夜の席で兄弟が揉めている姿を目にする事もある。

金融商品についても知られていないことは多い。株を保有していても株券がなかったり、ネット銀行に預金していて通帳がなかったりすると、財産を特定できない可能性がある。

借金も知らないと大変だ。相続放棄のできる期間(3カ月)を過ぎてから借金の請求が来たということも耳にする。おそらく債権者は「相続放棄されては困る」と、3カ月間じっと待っていたのだろう。

知らない事が多いとそれらを明確にするための調査が必要になり、結果として時間、費用がかかって遺族で押し付け合いになることも珍しくはない。

親が自ら進んで「終活セミナー」に参加し、「エンディングノート」に記入してくれるケースはいいが、そうでなかった場合、最後に困るのは自分自身である。かといって、ストレートに「終活」を親に促すのはなかなか難しい。下手すると「親の死ぬのを待っているのか!縁起でもない!」と怒られかねない。

「あのノート」の活用法

親のことを聞きたくてもなかなか聞き出せない……そんなときに筆者がおススメしたいのが、子供がエンディングノートをうまく活用し、親に相続について考えてもらう方法である。

エンディングノートを子供が購入し、エンディングノートの中の項目をうまく日常会話に取り入れながら聞き出し記入していく方法である。エンディングノートにある項目を会話の中でうまく引き出し、子供が記入していけば、親のエンディングノートが出来上がるのである。子供が親の人生に興味を持ち、話を聞くことで、親子間のコミュニケーションもとれる。

親に聞いておくべき項目

まず聞いておくと何かと便利なのが親の交友関係である。例えば、趣味やサークル、参加団体とその仲間、良く行くお店、遊び仲間や悩み事を相談している人である。

交友関係をおさえておけば、万が一のときにも親の情報、例えば財産のことなどを教えてもらえる可能性がある。認知症などになった時にも、認知症になる前を知らない介護スタッフがど
のように介護をし、接したら良いかにも大変役立つようである。

世話になっている地域包括センターの職員や民生委員、主治医、病気の現状や服用している薬、治療上食べても良いもの・悪いものなども聞いておくとよい。

資産については、「友人の親が急病で意識不明になり、親のお金がどこにあるかわからず治療費の調達に苦労したらしい」などと切り出し、どこにどんな金融商品や資産があるかを聞いてみると良いだろう。さらに、同様に第三者が困った事例を上手に活用しながらお墓の事など切り出してみよう。

ノートの選び方

エンディングノートは様々な種類のものが出ているが、これまで過ごしてきた人生の事や思い出、これからやりたいことなどのライフプランを記入できるものが良いだろう。なぜなら、親のこれまでの人生に興味を持って話を聞くことから始めると、親も自分の今の立ち位置を確認でき、今後の事も考えやすくなるからだ。

病気や介護になった時の事を考えているのか、誰に世話になろうとしているのか、誰に財産を譲ろうとしているのか、お墓の事は考えているのかなど、親の頭の中は全く見えない。上記のように子供がエンディングノートを記入して完成させる事で、親の相続時に、困らずスムーズに事が運ぶ期待が持てるのである。

年末が近づいてきた。帰省時にぜひ家族で相続について話し合ってみてはいかがだろう。また、この方法は電話でもできる。親と遠く離れて暮らしていて会うことが難しい人も、これを機に連絡を取ってみてはいかがだろう。

廣木智代 ファイナンシャルプランナー(CFP)
結婚後、家業のスナックで手伝いをしていたが母の引退と共に廃業。家計の苦しさを埋めるための家族の保険の見直しをきっかけに「お金に賢くなる手伝いをしよう」とCFP資格を取得。心と体とお金の「健康バランス」を軸に、個別相談、セミナー、執筆を展開中。 FP Cafe 登録FP。

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