(写真=Thinkstock/Getty Images)
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今年の株式市場は波乱の幕開けとなった。4日の大発会から6日連続の下落は戦後初めてのことである。最初の2週間で上昇したのは日経平均株価が500円近く上げた13日の1日だけで、その後は再び今年の最安値を更新している。ここまでの値下がり幅は1900円近く、率にしてほぼ10%だ。昨年12月1日の高値2万0012円からは15%近くも下落し、10〜11月の大きな上げが帳消しになった格好である。

日経平均は年明け2週間で15%も下落

この大幅安の背景には、中国経済の減速に加え、原油価格が14年ぶりの30ドル割れが指摘される。原油市場ではイランの制裁解除が決まり、その輸出再開による新たな需給悪化見通しが嫌気されているほか、世界各地で多発するテロも不安心理をかき立てる。この間、円ドルレートが1年ぶりの高値をつけたことも、日本市場特有の重しとなっている。

このように下値不安が強い状況で注目を集めるのがディフェンシブ株だ。市場全体の動きにあまり左右されない、値動きの小さい銘柄で、低ベータ株と呼ばれることもある。個別銘柄のベータは、市場全体、すなわち日本で言えばTOPIXが1動いたときのその株価変動幅を統計的に算出するもので、市場全体の動きに対する感応度を表す。

高配当ディフェンシブ株に注目

ディフェンシブとされるのは、食品と小売り、医薬・医療、通信、官公需の関連銘柄が多い。これらは日常生活に欠かせなかったり、公的需要であるため、景気変動の影響を受けにくいとみられるからだ。

現在のような不透明な市場環境では、ディフェンシブの中でも特に高配当銘柄に注目したい。ちなみに、東証一部上場企業の平均予想利回りは1.77%。これに対し医療関連では武田薬品 <4502> 3.22%、第一三共 <4568> 3.05%、使い捨て医療器具のニプロ <8086> 3.04%、扶桑薬品 <4538> 3.03%といずれも3%を上回っている。

食品・小売り関連ではJT <2914> 2.89%、キノコ生産のホクト <1379> 2.71%、スーパー経営のユニーグループHD <8270> 2.67%、ローソン <2651> 2.63%などが魅力的だ。このほか、日本道路 <1884> 2.83%、通信事業のNTTドコモ <9437> 2.90%、KDDI <9433> 2.29%も利回りが高い。塾経営の学究社 <9769> 4.10%やニチイ学館 <9792> 2.80%も景気に左右されにくいディフェンシブといえるかもしれない。

高配当企業は低成長でも利益は着実

一般に、低成長でも着実に利益を稼いでいる企業は高配当を行うことが多い。大規模な設備投資や拠点拡充などが必要ないため、内部留保を配当に回して株主に利益還元するからだ。米ハイテク大手のマイクロソフトやインテルも配当を開始したのはパソコン市場の成長が鈍化してからで、それまでは生産設備や製品開発に巨額の投資を行っていた。

従って、配当が高く、かつ高い成長ポテンシャルが見込める企業は、浮き沈みの激しいオンライン・ゲーム業界などを除くと、実のところなかなか見つからない。上述の銘柄のなかでは、JTやローソンなどが積極的な海外展開で比較的高い成長が見込めそうだが、国内市場の縮小という大きな課題も抱えている。

「高利回り」はあくまでも予想、業績不安の小さい銘柄に絞る

また、高配当、高利回りといってもそれはあくまで予想の上でのこと。業績悪化で配当を減額するケースも多い点には留意しておきたい。たとえば、キヤノン <7751> は昨年第3四半期(7〜9月)の決算発表時に同通期の計画を下方修正している。最終四半期もデジカメの不振が続いているほか、想定為替レートよりも円高で着地したと見られ、業績未達懸念が強い。

年明け以降はさらに円高が進んでいることを考え合わせると、キヤノンの厳しい経営環境は今後も続きそうだ。未定としていた前下期の配当が上期の75円から減額され、市場が予想する高利回り4.59%を下回る恐れもある。ましてや、今期に昨年並みの配当を期待するのは危険かもしれない。

やはり、業績不安の小さい銘柄に的を絞るのがよさそうだ。高配当に飛びつく前に、事業内容や業績予想をよく吟味した銘柄選択が求められる。現在の市場環境を踏まえると、為替動向はもちろん、中国を中心とする新興国景気、原油価格などの影響を受けにくいことが最低限のチェックポイントになるだろう。(上杉光、シニア・アナリスト)

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