2016年の東京株式市場は波乱の出発となった。日経平均株価は大発会から6日間にわたって続落という、戦後初の不名誉な記録を打ち立て、1月15日の終値で、年初来騰落率はマイナス10%となった。中国リスクの再燃や中東情勢、北朝鮮の核実験問題など、世界経済を取り巻く環境が不安定さを増しており、世界の株式市場がリスク回避に動いている格好だ。
しかし、目先は波乱含みではあるものの、外部要因による相場の急落は、日本株にとって買いの好機となるとの見方も浮上してきている。
業績好調な高配当銘柄
実際に、昨夏の下落局面以降、堅調に推移している好業績企業の株価も少なくない。不安定な状態が続く日本株だが、日本企業の業績見通しは依然として増益基調であり、好業績の銘柄は配当が魅力的なことも多い。さらには、足元の相場急落により、配当利回りが上昇しており、配当を重視する中長期スタンスの投資家にとっては、投資妙味が増しているとも言えそうだ。
そこで、配当利回りや業績、株価のトレンドなどを考慮し、好業績かつ高配当な銘柄を今回は紹介する。
好業績&高配当銘柄①日産自動車 <7201>
株価:1106.0円(2016年1月15日終値)
今期予想配当利回り:3.79%
PER:8.6倍
決算期:3月期
自動車大手。2016年3月期連結業績は売上高が前期比7.7%増、営業利益が同23.8%増を計画している。北米市場などにおける販売が好調に推移していることもあり、今期も好調な業績が見込まれている。株式市場の波乱要因の一つとされる原油安も、自動車市場にとってはプラスとなることが考えられる。業績計画の前提となる想定為替レートは1ドル=117円となっており、足元の円高は許容範囲だ。株価は年初から下落しているものの、長期上昇トレンドは維持していると考えられ、今期予想配当利回りは3.79%と同業他社と比べて高水準だ。
好業績&高配当銘柄②テクノプロ・ホールディングス <6028>
株価:3220円(2016年1月15日終値)
今期予想配当利回り:3.46%
PER:14.4倍
決算期:6月期
技術系人材サービスグループの持ち株会社。2016年6月期連結業績は売上高が前期比8.3%増、営業利益が同11.2%増を計画している。良好な雇用環境を背景に、自動車産業や建設業界向けなどへの技術者派遣が好調に推移している。同社が強みとする技術者派遣は今後も安定成長が見込まれており、継続的な業績成長が期待される。2014年12月の株式上場以降、株価は堅調に推移しており、今期予想配当利回り3.46%も魅力的だ。
好業績&高配当銘柄③富士重工業 <7270>
株価:4392円(2016年1月15日終値)
今期予想配当利回り:3.27%
PER:9.2倍
決算期:3月期
「スバル」ブランドを展開する自動車大手。2016年3月期連結業績は売上高が前期比11.5%増、営業利益が同30.0%を計画している。自動車市場が堅調な北米に重点を置いており、北米販売台数が7期連続過去最高を更新する予定であるなど、販売が好調に推移している。他社がコンパクトカーや低燃費車に注力する中、北米で人気のある大型車を中心に展開するなど、他社とは一線を画している。
アベノミクス相場での株価上昇は、同業他社と比べて際立っているが割高感はなく、好業績を素直に評価されてきた結果とも言える。各社が昨夏の高値水準まで株価を戻すのに苦労する中、同社株は2015年12月に昨年来高値を更新するなど、長期トレンドは継続している様子だ。予想配当は前期比で2倍以上となっており、今期予想配当利回りは3.27%と高水準だ。
好業績&高配当銘柄④アマダホールディングス <6113>
株価:1073円(2016年1月15日終値)
今期予想配当利回り:3.16%
PER:15.0倍
決算期:3月期
金属加工機械大手。2016年3月期連結業績は売上高が前期比4.7%増、営業利益が同37.2%増を計画している。主力の板金加工機が国内外で堅調に推移しており、特に日本市場は企業の設備投資がゆるやかに回復していることもあって、精密機器や輸送機器向けなどが好調だ。株価は2015年6月に高値を付けて以降、高値を更新できないでいるものの長期上昇トレンドは維持しているとみられえている。自己株取得を行うなど株主還元に積極的で、今期予想配当利回りは3.16%と魅力的だ。
好業績&高配当銘柄⑤積水ハウス <1928>
株価:1834.0円(2016年1月15日終値)
今期予想配当利回り:2.94%
PER:13.0倍
決算期:1月期
鉄骨主力の住宅大手。2016年1月期連結業績は売上高が前期比0.4%増、営業利益が同9.1%増を計画している。都市再開発事業やマンション事業などが好調に推移していることや、前期不調だった戸建住宅事業も好転するなど、今後も堅調な業績が期待されている。株価は長期上昇トレンドが継続していると考えられ、直近高値を付けた2015年12月8日から下落していることで、今期予想配当利回り2.94%と投資妙味が増している。
株価下落を受けて配当利回りが上昇している銘柄はたくさん存在するが、配当利回りだけに注目して投資をするのは注意が必要だ。
例えば、高配当銘柄の代表格である商社株は、商品市況の悪化によって業績見通しの良くない銘柄が多く、株価の推移も軟調だからだ。株式投資の大前提は株価の上昇が期待できることであり、中長期で株価が下落して配当利回りが上昇している銘柄は、業績などをしっかり確認することが大切であろう。(ZUU online 編集部)
【編集部のオススメ記事】
・「信用経済」という新たな尺度 あなたの信用力はどれくらい?(PR)
・資産2億円超の億り人が明かす「伸びない投資家」の特徴とは?
・会社で「食事」を手間なく、おいしく出す方法(PR)
・年収で選ぶ「住まい」 気をつけたい5つのポイント
・元野村證券「伝説の営業マン」が明かす 「富裕層開拓」3つの極意(PR)