グラフ①

4月下旬から5月にかけては上場企業の決算発表が目白押しです。日本経済新聞の取材によると「2014年3月期は経常利益が前の期に比べて3割超増え」ているようです。自動車産業や電子部品産業が全体をけん引している模様で、「利益水準は金融危機前で最高益だった08年3月期の9割超まで回復」しています。2008年3月期に付けた最高益は31兆円近くでしたが、2014年3月期は9割超まで回復してきており、最高益更新も視野に入ってきました。不動産ミニバブルの崩壊、リーマンショック後の金融危機、円高を経て、各企業が行ってきた経営改革及び昨今の円安で収益力が回復してきているようです。

30日までに発表を終えた企業の8割が経常増益となっており、経常減益は2割程度となっています。自動車産業や電子部品産業といった外需が大きく影響する企業ばかりだけでなく、東日本旅客鉄道やKDDIなど内需型企業も業績が上向いています。ただ、2015年3月期は各企業とも慎重な見通しをしており、2014年3月期のような大幅増益とはいかない模様です。

2014年3月期決算は比較的順調な決算発表が続いていると言えるでしょう。市場は早くも来期業績予想に注目が集まっています。2015年3月期決算は減益予想、横ばい予想をする企業も多く、慎重な見通しが続いています。これはある意味仕方がないことだと考えています。なぜならば、2014年3月期は外需産業には円安の恩恵があり、内需産業にとっても消費税増税前の駆け込み需要という特殊要因があり、これが2015年3月期には剥落するからです。

しかし、大きく失望することはないと考えています。今期並みか若干増益で推移するのではないでしょうか。なぜならば、給料の底上げがしばしば見られているだけでなく、アルバイトやパートの時給も上がってきており、これが活発な消費活動に結び付く可能性があるからです。また、日銀の低金利政策が利益水準を高めている側面もあると思います。

借入金利が低ければその分、企業は利息負担が少なく利益が出しやすい体質であり続けられます。金利負担が小さいうちはそう遠くないうちに2008年3月期の水準を超えることもありうると考えています。この政策金利がどのように変化するかが今後の企業業績を見るポイントの1つともなりそうです。