日経平均予想レンジ 14,529~16,115円
今週は、中国の景気減速懸念と原油安という悪材料に欧州の信用不安が加わり、日経平均は世界株安や円高進行もあって、2014年10月21日以来、一時14,900円を割り込み、世界的なリスク回避ムードの広がりが投資家心理を一層悪化させた。
注目されたイエレンFRB議長の議会証言は、「経済が下振れすれば利上げペースも減速するのが適当だ」と表明し、3月のFOMCでは世界的な株安や資源安が収束しなければ利上げを見送る可能性を示唆した。しかし、中国を起点とする市場の動揺が米景気に悪影響を与えかねないとも言及したことで、米景気の先行き懸念が浮上し、株安、ドル安を引き起こしている。
東京市場は原油安、円高進行、欧州信用不安など悪材料が山積みとなっており、現在、歯止めをかける有効な策を期待しづらい情勢が、市場の悲観論を増幅させている。また、各国が政策対応を打ち出せないことを、投機筋が見透かして売り仕掛けしていることは十分考えられる。
需給面でみると、12月以降の下落で海外勢は現物1兆円売りに加え、先物では3兆円と大幅に売り越しており、反転となれば潜在的な上昇エネルギーは大きい。
一方、10-12月期決算発表は一巡した。日経平均採用銘柄の1株当り予想利益は、1,100円台に下方修正された。日経平均はこれを先取りする形で下落したが、2013年からの予想利益との関連性を見ると、予想利益1,100円台での日経平均の適正水準は17,000円台に位置する。従って、現在の15,000円水準は売られ過ぎで、相対的魅力の大きさを考慮すれば、徐々に株式市場に資金流入する可能性が考えられ、株価の支えとなることが期待される。
テクニカル面では1月12日安値16,017円を割り込み、改めて底値を模索する局面となった。ただ、今週の安値14,865円は200日線とのマイナス乖離が経験則でボトム圏を示す20%を超えたことで大底圏に達したと見ることができる。また、25日騰落レシオや、25日線とのマイナス乖離も売られ過ぎを示しており、いつ下げ止まってもおかしくない。
以上、現状のリスクオフを止めるにはG20などでの国際協調が不可欠であり、各国の政策対応による市場の混乱の収束が待たれる。来週の日経平均のレンジとしては、上値は5日線の16,115円が意識され、下値は2014年10月17日安値の14,529円が目処となる。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券
チーフストラテジスト