「人生100年時代」という言葉が一般的になり、老後資金形成の重要性を問う声をよく聞くようになった。しかし、すでに一定の老後資金を確保している人や確保できる予定の人もいらっしゃるだろう。今回は、「それをいかに使うか」という視点で老後資金の上手な使い方を紹介しよう。

老後資金は「2つの財布」に分けて考えよう

「2つの財布」で老後もバッチリ ! 貯めた資金の賢い使い方
(画像=takasu / stock.adobe.com)

老後資金の額や老後のライフプラン、年金の額、健康状態などによって「老後資金の上手な使い方」は異なるため一概には言えないが、ここでは老後資金を「2つの財布」に分けるというアイデアを提案したい。

例えば、老後を「①65歳~75歳 (フェーズ1) 」「②75歳以降 (フェーズ2) 」に分けて、フェーズ1で老後資金の65%、フェーズ2で35%を使うというのはどうだろうか。

フェーズ1の年齢であれば、一般的に健康面で大きな支障が出にくく、アクティブに動ける (動きたい) だろう。ゴルフ三昧の日々を過ごしたり、取り組んでみたかった趣味を始めてみたり。もちろんさまざまな所へ旅行するのも楽しいだろう。そういったレジャー費や交際費がかさむことを想定し、資金を厚めに配分する。

それに対してフェーズ2は、アクティブに活動する機会が減ることが予想されるため、フェーズ1よりも配分の比率を下げる。これはあくまでも一例であり、金額 (比率) の決め方に正解はない。しかし、その際のポイントは挙げることができる。

「2つの財布」の金額の決め方

金額 (比率) を決める際のポイントを見ていこう。フェーズ1については、日々の生活費に加えて、前述のようにレジャー費や交際費を踏まえて計算しよう。「フェーズ1でやりたいことリスト」を作って、それぞれにかかる金額を想定するとよいだろう。

フェーズ1で盲点になりがちなのが「孫や子どもへの援助資金」だ。フェーズ1の年齢だと、孫の教育費負担が重くなる時期と重なる人も多いだろう。「孫の教育費を援助してあげたい」と思っている人は、教育方針や実際にかかる費用などについて子ども (孫の親) とよく話し合い、想定金額を算出しておきたい。子どもの住宅購入費用を援助したい場合も、考え方は同じだ。

フェーズ2では、フェーズ1ほどレジャー費や交際費はかからないだろう。しかし、フェーズ2は終了時期を事前に知ることはできない。また、フェーズ2では医療費負担や老人ホームなどの介護施設利用料にも注意が必要だ。

「医療費がどれだけかかるか」は人によって異なるので一概には言えないが、総務省が発表した「家計調査年報 (家計収支編) 2019年」によると、75歳以上の高齢無職世帯 (2人以上の世帯) の消費支出は月額22万2,574円であった。消費支出とは、直接税や社会保険料などを除く生活費全般の支出のことだ。医療費も消費支出に含まれる。

また、老人ホームなどの介護施設においては健康状態や施設の種類などで初期費用や月額料金が変わるため断定はできないが、月額10万円~30万円ほどの費用がかかることは想定しておきたい。

あくまで平均値であるが、フェーズ2の金額を決める際の参考になるだろう。

「2つの財布」の運用方法

では、これらの資金をどのように運用していけばよいのだろうか。こちらも一般論になるが、フェーズ1ではフェーズ2用の資金を預金や債券などの低リスク商品で運用するとよいだろう。フェーズ2用の資金を高リスク商品で運用して大きな損失を出してしまうと、フェーズ2の生活が成り立たなくなるおそれがあるからだ。

フェーズ1用の資金はもちろんのこと、フェーズ2用の資金についても、いざというときに現金化できるように「流動性が高い商品で運用する」こともポイントだ。流動性と安全性 (低リスク) を兼ね備えた金融商品に債券があるが、債券で運用する場合は満期までの期間や途中売却時のリスクなどに注意したい。

フェーズ1では健康で過ごせる人が多いと思うが、そうはいっても高齢者であり、突然大きな病にかかって医療費負担が増える可能性は否めない。そうでなくても、突発的な支出に対応できるように、流動性を高めておくことをおすすめしたい。

「2つの財布」を意識して、老後資金を上手に使おう

ここまで、すでに一定の老後資金を確保している人に向けて、老後資金の上手な使い方を紹介してきた。

ただ老後資金を確保するだけではなく、どう資金を配分していくかを考える必要もありそうだ。老後を「活発に活動するフェーズ1」と「活動量を落とすフェーズ2」に分けて、それぞれに適した金額を振り分けるとよいだろう。その際は「老後にやりたかったこと」を列挙し、それぞれにかかるお金を想定するとよい。あなたも「2つの財布」を意識して、老後資金を上手に使う計画を立ててみてはいかがだろうか。

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(提供:大和ネクスト銀行


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