これから株式投資を始めるなら、株式投資は大きく「グロース投資」と「バリュー投資」に分類できることを知っておきたい。これらは銘柄選択やリターンの狙い方が異なり、グロース投資に向いている時期もあれば、バリュー投資に向いている時期もある。

グロース投資とバリュー投資の違いは ?

グロース投資とバリュー投資の違いは?
(画像=beeboys / stock.adobe.com)

まず、グロース投資とバリュー投資の意味の違いを説明しよう。

●グロース投資:業績の急成長、株価の急上昇を狙う投資方法

グロース投資の「Growth」は「成長」という意味だ。つまりグロース投資は、売上や利益が急速に伸びており、株価が大きく上昇する可能性がある企業を狙って投資する手法を指す。グロース株には、ITや先進技術を扱う企業が多い。

グロース株かどうかを判断する基準としては、売上高の伸び率や利益の成長率などが挙げられる。上場企業は四半期ごとに売上高や利益を発表しているので、各企業のIR (投資家情報) ページなどで確認しよう。

●バリュー投資:株価が割安なタイミングを狙う投資方法

バリュー (value) 投資は、株価が割安な銘柄を保有する投資手法だ。本来はもっと株価が高いはずだが安値圏にある場合は、バリュー投資の絶好のタイミングといえる。バリュー株には、成熟企業が多い。

「割安」と判断する指標として「PER」などを使う。PER (Price Earnings Ratio) とは「株価収益率」のことで、「株価÷1株あたりの利益」という計算式で算出される。単位は「倍」で、20倍よりも10倍のほうが割安ということだ。

市場や業種などによって基準が異なるため、一概に「何倍以下なら割安」ということはできない。一方、その銘柄の過去のPERと比べたり、同業他社のPERと比べたりする方法は、どの国の株式、どの業種の株式でも有効だ。

株式投資における利益の出し方は ?

グロース投資とバリュー投資では、利益の狙い方が少し異なる。

●グロース投資では主に「キャピタルゲイン」を狙う

グロース投資は、株価の大幅な上昇を期待する投資手法だ。そのため、基本的には「キャピタルゲイン (売却益) 」で利益を出す投資スタイルになる。

グロース株の中には1年で株価が10倍になる銘柄 (※このような銘柄をテンバガー銘柄と呼ぶ) もあり、仮に100万円投資していたとすると、税引前で900万円の利益 (売却額1,000万円 − 投資元本100万円) になる。

●バリュー投資は「インカムゲイン+キャピタルゲイン」を狙う

バリュー投資では、インカムゲイン (配当益) とキャピタルゲインのハイブリッドで利益を出すのがセオリーだ。

グロース株の多くは配当を出していないが、バリュー株には高配当銘柄が多い。高配当銘柄を割安な時に買えば、利益を得やすくなる。

グロース株の多くが配当を出していない理由は、業績拡大に向けて利益の多くを研究開発費などに投じているからだ。

「リスク」と「リターン」を比較すると ?

グロース株とバリュー株を比べると、ボラティリティ (株価の振れ幅) はグロース株のほうが大きい。そのため悪材料が出ると、1日で株価が数十%下落することもある。一方、バリュー株の値動きはグロース株よりも小さい。

つまりグロース投資は「ハイリスク・ハイリターン」、バリュー投資は「ローリスク・ローリターン」といえる。

投資に適している時期は ?

株式市場においては、グロース株が優位な時期もあれば、バリュー株が優位な時期もある。過去の相場を分析すると、「金利」が関係しているケースが多いことがわかる。

金利の上昇はグロース株にとっては逆風で、長期的な株価の下落に見舞われやすい。理由はいくつかあるが、金利が上昇すると銀行から多額の融資を受ける際などは貸出金利が高くなるため、設備投資や研究開発、人員強化などを目的とした資金調達に二の足を踏む企業が増え、期待どおりの急成長が難しくなることなどが挙げられる。

一方で金利が上昇している時期は、「逃げ場」としてバリュー株に資金が移動しやすい。また、利上げ局面では景気が上向いていることが多いため、バリュー株においても業績が大きく向上する企業が増える。すると、投資家の投資意欲が高まる。

現在はアメリカで利上げが始まろうとしており、グロース株には逆風が吹いている。中には、1年前と比べて株価が半値以下になった銘柄もある。

新たな知識を身に付けよう

株式投資を始めたばかりの時期は、グロース株とバリュー株の区別がつかないだろう。しかし、知識を身に付けて区別できるようになれば、投資のタイミングを図りやすくなり、許容できるリスクに合わせて銘柄を選べるようになる。

銘柄の分類に関しては、「グロース株とバリュー株」という分け方の他に「ディフェンシブ銘柄とシクリカル銘柄」という分け方もあるので、興味がある人はぜひ調べてみてほしい。新たな知識を身に付けていけば、少しずつ株式投資の腕が上がるはずだ。

(提供:大和ネクスト銀行


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