住宅資金、教育資金、老後資金は人生の「三大資金」と称されますが、いったいどのように準備していけばよいのでしょうか。日ごろから家計相談を受けているファイナンシャル・プランナーが、計画的に準備していくための家計見直しの方法をお伝えします。

人生の三大資金の合計額は数千万円?

人生の「三大資金」への備えは万全?家計見直しのオススメ方法を解説
(画像=PIXTA)

生涯において人はいろいろなことにお金を使いますが、 人生の三大資金というと、金額が大きく、簡単に用意できない住宅資金、教育資金、老後資金の3つを指すのが一般的です。

三大資金の必要額は人により大きく異なります。たとえば都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)で住宅を購入し、子どもを大学まで通わせる場合、年金を満額受け取るにしても、合計で数千万円の資金を自助努力で準備していくことが必要だと考えられています。

もちろん必要額は、暮らす場所をはじめ、購入する住宅の種類、育てる子どもの数、加入する年金制度などにより前後します。具体的には、高級な住宅を購入する場合、子どもを私立の学校に通わせる場合、国民年金に加入している場合などは、より多額の資金が必要になる可能性もあります。

まずはライフプランを立ててみよう

計画的に準備するためにはライフプランニング、すなわち生涯の生活設計が重要になります。

ライフプランニングは自身が望む生涯を送るために、たとえば何歳で住宅を購入したいのか、何歳から子育てを始めたいのか、何歳で退職をするのか……といったライフイベントの時期を考え、収支の見通しを立てることです。ライフプランニングを行うことで、三大資金が必要となるタイミングや準備期間が明確になります。

ライフプランニングを立ててみると、住宅資金・教育資金・老後資金の支出時期がうまく分散される場合もあれば、50代や60代などに支出が集中する場合もあります。いつまでに何の費用を準備する必要があるのか、逆算して備えていくことが大切です。

家計見直しの一歩目をどう考える?

すでに三大資金が足りているという方を除けば、多くの人にとって、必要額に向けてお金を増やしていくことが目標になります。では、どのようにお金を増やしていけばよいのでしょうか。

●お金を増やす方法を3つにわけて考える

お金を増やす方法は様々ありますが、次の3つに整理して考えるとよいでしょう。収入を増やした方がよいのか、節約から取り組むべきか、預貯金で資産運用を始めるべきか……など、家計見直しの方針を立てやすくなります。

(1)収入を増やす
(2)支出を減らす=節約する
(3)お金にも働いてもらう=資産運用する

3つの方法を並行して取り組むことが理想的ですが、「(1)収入を増やす」と「(3)お金にも働いてもらう=資産運用する」は気軽に実践できない場合もあります。たとえば、「(1)収入を増やす」は昇給や副業、あるいは転職など、時間や労力を投下する必要があったり、「(3)お金にも働いてもらう=資産運用する」は元本割れなどのリスクを十分に理解できる投資知識が不可欠です。

そのため家計見直しの一歩目としては、比較的リスクが低く、結果をコントロールしやすい「(2)支出を減らす=節約する」から考えるのがオススメです。具体的な方法について、ファイナンシャル・プランナーの視点から解説します。

FPが実践する「節約術」を紹介

「節約」は直接的にお金を増やす方法ではないものの、努力に応じて結果が表れやすい点が強みです。しかし、目標を決めずに何となく飲食代や洋服代などを節約しようとしても、長続きしなかったり、効果が現れなかったりするものです。

節約の基本は、家計簿を作成して支出を見える化をし、無駄な支出をなくしていくことですが、この方法は記入する煩わしさが短所です。そこで個人的にオススメしたいのは家計簿アプリの利用です。レシートの写真を撮るだけで家計簿に記録できるアプリもあり、作業が格段に少なくて済むからです。

また日々の節約の第一歩としてオススメなのが、通勤時に家から昼食や飲み物を持っていくことです。たとえば、毎日外食と飲み物購入で1,000円かかっていたのを、持参により500円で済むとしましょう。月20日通勤だとすると月々1万円。単純計算しても年間で12万円、10年続ければ120万円の節約になります。食費や交通費は支出額が多いぶん、節約効果が出やすいです。

三大資金の必要額を考えると微々たる額に感じるかもしれませんが、塵も積もれば山となりますし、千里の道も一歩からで、まずは始めることが大事です。また節約することで生まれたお金を、先述の「(3)お金にも働いてもらう=資産運用する」に充てるなど、節約を起点にお金を増やす選択肢を広げていくと、より効率良く三大資金を準備していくことができます。

成功の秘訣は楽しみながら続けること

人生の三大資金の目安や、家計見直しのオススメ方法として節約術を解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。「節約はダイエットと似ている」と言われるように、やはり楽しみながらでないと長続きしないものです。たまには自分に“ご褒美”を用意することも、成功の秘訣です。無理して節約をすると、反動で衝動買いしてしまったり“リバウンド”してしまう恐れもあります。

ライフプラン実現のため、楽しみながら人生の三大資金の準備を進めていきましょう。

執筆者:松浦 健二(ファイナンシャル・プランナー)

(提供=auじぶん銀行)

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