◆勤労奨励金の申請の手続きや申請基準
韓国における所得税の課税単位は個人単位であるが、勤労奨励税制は世帯単位で該当するか否かの審査がされる。勤労奨励税制の適用対象は導入初期から2014年までには雇用者に限定されていたが、2015年からはその対象範囲が自営業者まで拡大された。
但し、事業者登録をしていない事業者や弁護士、弁理士、公認会計士、医師、薬剤師等の専門職事業者は対象から除外される。施行初期に雇用者だけを対象とした理由は自営業者の所得捕捉率が雇用者に比べて低かったからである。
勤労奨励金の申請は定期申請と期間後申請に区分されており、定期申請は毎年5月1日から6月1日までに申し込むことになっている。一方、期間後申請の申請期間は毎年6月2日から12月1日までで、期間後申請をした場合は勤労奨励金と子ども奨励金(*11)が10%ずつ減額され支給される。
勤労奨励金の申請は申請案内対象者(*12)の場合、電話(ARS)、携帯電話、モバイルウェブ、インターネットからの申請か税務署を直接訪問して申請することができる(*13)。
勤労奨励金や子ども奨励金を申請するためには次のような四つの基準を満たす必要がある。
(1)世帯基準
◇勤労奨励金:毎年12月31日現在、配偶者または満18歳未満の扶養する子どもがいるか、あるいは申請者が満60歳以上である必要がある。
◇子ども奨励金:毎年12月31日現在、満18歳未満の扶養する子どもがいる必要がある。
扶養する子どもは次の要件をすべて揃える必要がある。
・世帯主が扶養する子どもや同居している養子縁組した子ども。しかしながら一定の場合には孫や兄弟姉妹も扶養家族に含まれる(*14)。
・前年度12月31日現在満18歳未満であること。但し重度の障がいがある者の場合年齢制限はない。
・年間の合計所得金額が100万ウォン以下である子ども。
(2)総所得基準
◇勤労奨励金:勤労奨励金を受給するためには前年度の夫婦合算総所得が図表9の基準額未満である必要がある(配偶者と扶養する子どもがいない60歳以上の高齢者一人世帯は単身世帯として区分して支給)。
◇子ども奨励金:夫婦合算総所得が年間4千万ウォン未満であること。
(3)住宅基準:勤労奨励金と子ども奨励金の基準が同一
世帯全員が前年の6月1日時点で住宅を所有していないか、所有していても住宅の時価基準が6千万ウォン以下であること(一軒のみ)。
(4)財産基準:勤労奨励金と子ども奨励金の基準が同一
世帯全員が前年の6月1日時点で所有している財産(住宅、土地、建物、預金等)が合計で1億4千万ウォン未満である必要がある。財産に含まれるものの範囲と評価方法は図表10が詳しい。
上記の四つの基準以外に申請者は韓国国籍(韓国国籍者と婚姻している者を含む)であり、他の世帯員から扶養されてはならない。
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(*11)2015年度からは申請者に扶養する子どもがいる場合に、子ども一人当たり年間最大50万ウォンが支給される子ども奨励金が新しく導入された。
(*12)前年所得を基準として勤労奨励金や子ども奨励金が受給できると判別された世帯。
(*13)申請案内対象者でない場合は、インターネットや税務所のみで申請できる。
(*14)親がいない孫や兄弟姉妹を扶養する者、親(父あるいは母のみがいるケースを含む)がいない孫や兄弟姉妹を扶養する者で、親の年間の合計所得金額が100万ウォン以下で、その父あるいは母が障がい者雇用促進法及び職業リハビリテーション法による重度の障がいがある者あるいは「5.18民主化運動」関連者補償等に関する法律で障がい等級3級以上に指定された者、父あるいは母のみいる孫を扶養する場合で、その父あるいは母が18歳未満であり、その父あるいは母の年間の合計所得金額が100万ウォン以下である者。
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