Tokyo

法人税実効税率(東京都では35.64%)の引き下げの議論が本格化してきそうです。第2次安倍内閣で成長戦略の本丸ともいえる分野にようやく着手し始めたといえます。閣僚が法人税の実効税率の引き下げについて言及する場面も多く見られてきました。甘利明経済再生担当大臣は先月、「20%台に入ってくると市場に対し魅力が出てくる」と発言し、また5月5日には6月にもまとめる経済財政運営の基本指針「骨太の方針」において「時期と幅をできるだけ具体的に表記したい」と述べました。

また、「5年をかなり超えると本来の趣旨が伝わらない」という発言もしています。また安倍首相自らも5月1日のロンドンでの対日投資セミナーで「グローバル企業が活動する時代にさらなる法人税改革を進めていく」と発言していました。一方、法人税率を下げることで減収となる分を何で賄うかという議論も活発化してきそうです。有力な候補としては欠損金の繰越控除における割合変更、減価償却方法の変更(定率法を定額法へ)が挙げられています。この点について、麻生太郎財務相は「課税の対象範囲を広げないとバランスがとれない」「今より5%下げるなら、相当のものをやらないと」と代替財源について触れる発言をしています。

さて、法人税の実効税率が引き下げられることで期待されることは国内設備投資の拡大、雇用・賃金の改善などです。また、今までは税負担の重さから海外企業による日本国内への進出が敬遠されていましたが、法人税の実効税率が引き下げられれば、海外企業の進出、日本企業の国内回帰も期待できます。このようなことを踏まえ、株式投資を考えた場合、中長期的には設備投資銘柄に期待できます。

具体的にはファナック(証券コード6954)、SMC(証券コード6273)、ミスミグループ本社(証券コード9962)、オークマ(証券コード6103)、牧野フライス製作所(証券コード6135)等には注目です。また、「風が吹けば桶屋が儲かる」発想で考えれば、海外企業進出に伴うビジネス宿泊需要増大期待から帝国ホテル(証券コード9708)、常和ホールディングス(証券コード3258)、賃金改善による消費拡大期待から、高価格帯商品を取り扱う三越伊勢丹ホールディングス(証券コード3099)やJ.フロントリテイリング(証券コード3086)、輸入車を扱うケーユーホールディングス(証券コード9856)も抑えておき たいところです。

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Photo:Tokyo by osamukaneko