配当受領方法変更の際の注意点
それでは、配当の受取方法を変更する際の、注意すべき点について見ていきましょう。 まず、複数の証券口座を持っている場合ですが、ひとつの証券会社で「株式比例配分方式」を選択すると自動的に全ての証券口座でこの配当金の受取方法が適用されてしまいます。たとえば、ある証券会社で開設したNISA口座で「株式比例配分方式」を選択すると、その証券会社で開設している特定口座、一般口座はもちろんのこと、他の証券会社で開設している特定口座、一般口座も全て「株式比例配分方式」が適用されることになります。そのため、特別な理由があり配当金を銀行振込などで受け取りたいという人は注意する必要があります。
次に、証券会社に申込をしても「株式比例配分方式」が適用できない場合があります。複数の証券口座を持っている場合、そのなかに一つでも「株式比例配分方式」を取り扱っていない証券口座がある場合、「株式比例配分方式」を選択できないのです。この代表的な例が、特別口座の開設を受けているケースです。
特別口座とは、2009年の株券電子化時に株券を手元に保有していた場合などに株券の発行会社によって開設される口座のことです。自分で開設した口座ではなく覚えていないことも考えられるので、証券会社より「株式比例配分方式」を選択できない旨の通知を受けた場合には、これを疑ってみると良いかもしれません。なお、特別口座の開設を受けていた場合は、特別口座の残高を通常の証券口座に振替をすることによって閉鎖することができるので、取引のある証券会社にて振替依頼を行ってください。
最後に、権利確定日についても気をつけてください。権利確定日までに「株式比例配分方式」への変更が完了しないと、非課税の優遇措置を受けることができません。配当金の受取方法の変更申込の反映にかかる時間は証券会社によって異なるので、余裕を持って変更申込を行うことをお勧めします。
正しい制度理解でNISAの有効活用を
今回、NISAの落とし穴について説明してきましたが、NISAは通常20%もかかる所得税が非課税となるという有効な優遇制度です。しかし、正しく制度を理解していないと、このような落とし穴にはまってしまうことがあるのです。また、NISAは新しい制度でもあるため、今後も改正が加えられていくことも十分に考えられます。NISAを有効に活用していくために、新しい制度変更にも注意を払っておく必要があるでしょう。
人それぞれの投資スタイルが違うように、NISAの活用方法も人それぞれだと思います。制度を正しく理解したうえで、自分の投資スタイルに合ったNISAの活用方法を見つけ、うまくNISAと付き合っていってください。
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